2015 Fiscal Year Research-status Report
絶食により誘導されるニホンウナギの変態のトランスクリプトーム解析
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26850133
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Research Institution | Japan Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
須藤 竜介 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (60722676)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トランスクリプトーム解析 / ニホンウナギ / レプトセファルス / 変態 / 絶食 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は変態期のトランスクリプトーム解析により得られた「発現データの解析」と変態のトリガー因子を探るために「絶食実験」を実施した。 ・発現データの解析 Trinityによるde novo assemblyによりコンティグ数438364のcDNAカタログ配列を作成した。冗長性除去のためCD-Hit-ESTにより80%配列同一性でクラスタリングし、コンティグ数を320321まで減らした後、BlastXおよびBlast2Goによりアノテーション付与を行った。CLC genomic workbenchを用いてマッピングおよび各群の発現量の比較を行った。レプトセファルス期と変態初期の発現遺伝子に着目して解析したところ、頭部では65コンティグ、体部では131コンティグの発現変動遺伝子(FDR corrected p-value < 0.01)が見つかった。またアノテーションテストを実施後、REVIGOを用いて結果を可視化した。以上の解析から、GAPDHは変態が進行するほど全身で増加し、定量PCRなどの内部標準遺伝子として不適であることは、Cathl1が変態期の初期のみで有意に増加していることなど新しい知見を得られた。またGene onotology解析により、体部における発現変動遺伝子はBiological Processの側面からは翻訳伸長・筋繊維の調節・解糖に関わる遺伝子が大きく変化していることが明らかとなった。 ・絶食試験 変態期のトリガー因子を探る目的で日齢220日に達したウナギ仔魚に対して絶食処理を実施した。絶食開始時点、絶食開始後1, 3, 7日後に20尾ずつサンプリングした。サンプリングした個体はフェノキシエタノール(400ppm)で麻酔し、形態計測後、RNAlater中に保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ニホンウナギの変態に関してトランスクリプトーム解析を実施し、変態期に変化する遺伝子を網羅的に調べ、ニホンウナギの変態に関する分子メカニズムを明らかにすること目的としている。また、ニホンウナギの変態は絶食により誘導されることが報告されており、絶食と変態の関係についても解析することを目的としている。 2年度目は、初年度に得られた発現データの解析を中心に研究を遂行した。発現データの解析は当初予定していたアッセンブルで得られた全contigに対するアノテーション、発現変動遺伝子の抽出、Gene ontology解析を実施できた。 また、変態期のトリガー遺伝子探索のために、まず解析材料を準備した。昨年の秋に交配したニホンウナギ仔魚を200日以上かけて育て、絶食試験に供した。絶食試験は大きなトラブルもなく実施でき、解析サンプルの入手が出来た。 以上、トランスクリプトーム解析で得られる発現解析の主要なものはほぼ出来たこと、変態のトリガー因子探索のための実験材料を確保出来たことから、本年度の研究はおおむね順調に進展していると考えられる。最終年度も、順調に研究をすることで、いままで全く未知であったレプトセファルスの変態の分子生物学的基盤の一端が明らかとなることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、変態期を7段階に分け、①各期間の遺伝子発現をRNA-seq法によるトランスクリプトーム解析により網羅的に調べ、より詳細な変態期の遺伝子発現の動態を調べると共に、②絶食刺激に応答して発現量が増加する遺伝子を把握し変態のトリガー因子の探索を実施する予定である。 ①トランスクリプトーム解析 初年度に実施したトランスクリプトーム解析は変態期を前期と後期に分け、シラスウナギまでの期間を解析したが、本年度は変態期を変態前期・中期・後期の3段階に分け、さらにクロコまでの期間を解析対象として、変態開始から終了までをより詳細に解析する予定である。なお、サンプリングはすでに終了している。初年度の解析では発現変動遺伝子が比較的少なかったが、これは各期間でサンプルをプールしたことに起因している。そこで本年度は統計学的に適したデータセットにするために個体毎にタグ付けし、RNA-seqによる解析をする。また、発現データのマッピング先はウナギのゲノムデータを用いることで解析の精度の向上も図る予定である。 ②絶食試験群の解析 非変態期のレプトセファルスにも同様の絶食試験を行う。サンプリング個体をRNA-seq法によるトランスクリプトーム解析に供し、変態期にのみ絶食により変動した遺伝子を探し、その遺伝子群をトリガー候補遺伝子として詳細に検討・解析する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Mapping of quantitative trait loci (QTL) associated with timing of metamorphosis from leptocephali to glass eels in Japanese eel (Anguilla japonica).2016
Author(s)
Nomura K, Fujiwara A, Kai W, Ozaki A, Iwasaki Y, Nakamura Y, Nishiki I, Ojima N, Yasuike M, Sudo R, Tanaka H
Organizer
Plant & Animal Genome Conference XXIV
Place of Presentation
San Diego, CA
Year and Date
2016-01-08 – 2016-01-13
Int'l Joint Research