2015 Fiscal Year Annual Research Report
積雪地域の樹園地における秋肥は土壌環境に対して負のインパクトを与えるのか?
Project/Area Number |
26850149
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
遠藤 明 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (70450278)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リンゴ園土壌 / 無機態窒素 / 浸透流出 / 数値計算 / モニタリング / 減肥量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまで明らかにされてこなかった無施肥条件のリンゴ園土壌の無機態窒素の挙動を理解するために、Endo et al.(2013)の数理モデルを改良し、土壌間隙水中の無機態窒素濃度の時空間的な特徴を把握しつつ、樹園地土壌中の水分・ECモニタリングを実施した。NH4-Nは土壌に対する吸着能力が高いため大きな降雨強度に対して下方への顕著な浸透流出挙動が確認されなかった。一方、NO3-Nは、吸着等温線の勾配がNH4-Nと比較して23~71倍も小さかった。土壌間隙水中のNO3-Nは、土粒子に対するNO3-Nの吸着能力の小ささを反映し、日降水量とリンゴ園土壌の間隙率に相当する深さだけ、短時間のうちに速やかに下方へと浸透流出することが明らかになった。しかし、無施肥条件であれば、リンゴ園土壌間隙水中の年平均NO3-N濃度が10mg/Lを下回ることが明らかになった。したがって、リンゴの収量と品質を継続的に維持できるのであれば、施肥基準に定められた量の窒素肥料を無理に施肥しない方が、地下水環境基準を守ることが可能であることが示唆された。しかしながら、無施肥条件における土壌中のNO3-Nの挙動については、樹園地土壌のモニタリング(特にEC)では観測値として正確に把握することができなかった。このため、モニタリング時における測定手法やセンサー校正手法の改良の必要性が示唆された。
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