2015 Fiscal Year Annual Research Report
水生植物の繁茂する閉鎖性水域における流動-水質予測モデルの構築
Project/Area Number |
26850151
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
濱上 邦彦 岩手大学, 農学部, 准教授 (20571699)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水生植物 / 栄養塩類 / 流体交換 / 水質観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年生活雑排水などによる水質汚濁は環境問題として指摘され,大都市圏のみならず農村地域の河川・農業用水路やため池の水の有機汚濁も進行している状況であり,早期解決が望ましい状態である.様々提案されている水質改善法の一つとして挙げられるのが水生植物による自然浄化である.本研究では実際に農業用池のような小規模な水域を対象として水生植物の繁茂が流域内の流れや水質にどのような関係を持つのかを考察することを目的として現地観測を行った. 岩手大学農学部内に位置する北水の池を対象に,気象項目を1時間間隔で,DO,水温は5地点,10分間隔で測定し,TOC・TN・TPの水質項目は週に1度各地点で採水を行い,それぞれ分析を行った.植生の繁茂は6月~8月末にかけて増加し続け,9月~12月にかけて減少していくことが確認された.DOと水温の測定結果を月ごとに考察したところ,DO値は植生繁茂の見られない箇所で最も大きく,その変動値も他の地点よりも大きいことが分かった.また,水温に関しては植生部および水面部でほとんど差異が無いと分かった.一方,DOに関しては植生のない地点では日射量の増加に伴い大きく増加しているのに対し,植生のある地点ではあまり変化しておらず,植生の繁茂がDO値の変動に大きく変動を及ぼすことがわかった.また,日射の無い夜間ではDO値は同程度になっており,このことより植生部と水面部で夜間に流体交換が行われていると考えられる. 植生の繁茂状況がDOの値に影響を与えることを考慮し,水域全体に対し植生繁茂の割合を示す繁茂率を月ごとに求めた.繁茂率が増加すると栄養塩類は減少し,繁茂率が下がると栄養塩類は上昇した.夏季の最盛期には栄養塩類が吸収・吸着され減少するが,冬季に繁茂率が減少すると再び栄養塩類濃度が上昇することがわかった.
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