2014 Fiscal Year Research-status Report
ラグランジュ型地下水浸透流モデルの開発~非ダルシー流れの解析を目指して~
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26850154
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
泉 智揮 愛媛大学, 農学部, 助教 (40574372)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非ダルシー流れ / 地下水浸透流解析 / 粒子法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,近年多発している突発的な集中豪雨時に発生が予測される,土中における流速の速い非ダルシー流れをともなう浸透現象を数値的に解析することを可能にするために,ダルシー則に基づいて記述される地下水浸透流モデルの数値解析手法として従来から用いられている差分法や有限要素法に代わり,メッシュフリー法の一つである粒子法(MPS法)を適用したラグランジュ型の地下水浸透流解析モデルの開発を目的とする. 平成26年度は,非ダルシー流れをともなう浸透現象の支配方程式の定式化と,非ダルシー流の発生メカニズムとダルシー則の適用限界を明らかにするための浸透実験を実施した.支配方程式については,既往の飽和・非ダルシー流れの式であるForchhimerの式およびIzbashの式について検討した.浸透実験では,単一粒径のガラスビーズ(粒径:0.2mm,2.0mm,5.0mm),標準砂,粗砂を対象に,粒径と流速の関係や非ダルシー流れの発生状況について調べた. これからの課題は,粒子法(MPS法)を用いて支配方程式を離散化してラグランジュ型の地下水浸透流解析モデルを開発することと,開発した解析モデルの検証のために浸透実験を継続してデータを収集・蓄積することである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
支配方程式の検討と非ダルシー流れに関する基礎的な浸透実験を実施できたため,「(2)おおむね順調に進展している」と判断した.しかしながら,浸透実験を実施し基礎的なデータを充実する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
支配方程式を粒子法(MPS法)により離散化し,ラグランジュ型の地下水浸透流解析モデルを構築する.並行して,浸透実験を継続してデータの収集・蓄積をはかる. MPS法の適用において,基本的な離散化方法は確立されているので,支配方程式の数値モデル化自体はスムーズに行えるものと考えられる.予想される課題は計算時間である.MPS法は,それぞれの粒子についてその近傍粒子の移動を計算する必要があるため,解析精度を上げるために粒子径を小さくすると,粒子数が増え計算時間が大きく増加する.したがって,計算時間と計算精度のトレードオフを考慮した適切な粒子数を検討するとともに,OpenMPなどの並列化計算コードを積極的に利用する.浸透実験は,平成26年度に引き続き実施してデータの収集と蓄積をはかる.
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Causes of Carryover |
浸透実験による基礎的なデータの収集が不十分であると判断したため,次年度の浸透実験の実施経費に充当してデータの収集・蓄積をはかる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続して実施する浸透実験の実施経費(消耗品費,実験補助の人件費)および成果発表関連経費(国内・海外旅費,論文投稿料)として使用する.
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