2015 Fiscal Year Research-status Report
可視・近赤外およびテラヘルツ分光とそのイメージングによる葉内水分子の動態解明
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26850163
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 大太郎 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20610869)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水ストレス / スペクトル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究二年目は可視分光スペクトルによるストレス変化把握として圧力ストレスを加えた場合についても検討を実施した。超高圧を付加した場合の可視スペクトルは、やや長波長シフトする傾向にあったものの明確ではなかった。また、未処理サンプルでは短波長シフトが認められた。未処理の場合は、乾燥過程にあるため、これまでの水分欠乏実験同様の理由で短波長シフトした可能性がある。本実験では、未処理資料の場合、直線的な濃度上昇が認められた。これは、抽出したクロロフィル濃度変化の傾向とも一致していた。したがって、ストレス状態下における葉では、クロロフィル分子の会合状態が変化するというこれまで提案してきた考察がより強まった。また、近赤外イメージング装置を用いてイメージングを実施することで、面的な水分状態の把握をある程度理解することに成功した。特徴的なピークのみを用いた結果であったが、さらに、ピーク同士の比やシフトなどを用いたマッピングを試みることで、化学的変化を直接追跡できるイメージングを構築していく予定である。さらに現在得られたイメージングを継時的に詳細に解析していくことで水分ストレス評価につなげる必要がある。またテラヘルツ分光については、含水率の変化をテラヘルツ帯のベースラインシフトで高精度に追跡可能であった。水分欠乏によってピークが60cm-1付近に存在し、そのピーク変化を調査することで水分の変化を評価することも可能であることが示されたが、このピークが化学構造に由来するものかは現在不明であることからより詳細な解析を実施していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近赤外分光イメージングでは、含水率の面的分布把握をある程度可能とした。可視・近赤外を包括することで二次元的なストレス評価法確率の可能性が示されたことからおおむね順調に推移していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、研究の全体を総括し、葉にストレスが加わった場合の分光学的変化についてより詳細な検討を実施する。とりわけイメージングを用いたストレス状態の面的な把握については二年度目までに得られた結果にさらに経時変化の精査等を実施して行く予定である。テラヘルツ分光については、イメージングデータの蓄積が必要であるため、2年目までに得られた波長帯を使用するなどの方法で、二次元マッピングを試みる予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度では、画像処理用のソフトウェアの購入を計上していたが、イメージング装置開発会社により簡易ソフトウェアの提供を受けたことから、次年度へ繰り越し可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に、これまでの研究を総括した国際学会(FACSS2016)での発表および、イメージング装置開発機関である横河電機、住友電工等との研究打ち合わせおよび実験に使用する。また、関西学院大学尾崎研究室にて近赤外イメージング結果に基づいた研究打ち合わせも実施する。
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