2014 Fiscal Year Research-status Report
ブタ骨格筋の塩基性アミノ酸輸送体発現とタンパク質・エネルギー代謝の関係の解明
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26850170
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石田 藍子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所家畜生理栄養研究領域, 主任研究員 (30414684)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨格筋 / タンパク質 / エネルギー / アミノ酸トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、栄養生理学的制御がブタ骨格筋におけるCat-1およびCat-2の発現へ及ぼす影響を検討するために、ブタを用いた飼養試験を実施した。 はじめに、タンパク質栄養について実験をおこなった。28日齢LWD種ブタ去勢雄を12頭用いて、粗タンパク質(CP)含量が21%の飼料を給与する対照区と、CP16%の飼料を給与する低タンパク質区に振り分け、2週間給与した。試験終了時に、血液、胸最長筋、菱形筋および大腿二頭筋を採取した。飼料摂取量は対照区と低タンパク質区で有意な差が無かったが、日増体重および飼料効率は低タンパク質区で有意に低くなり(P<0.05)、試験計画に沿った低タンパク質栄養状態になったと考えられた。その時の骨格筋におけるCat-1の発現量は、胸最長筋、大腿二頭筋では低タンパク質区で有意に高くなり(P<0.05)、菱形筋では低タンパク質区で高い傾向があった(P=0.11)。一方で、Cat-2の発現量は、いずれの骨格筋でも低タンパク質飼料給与による影響はなかった。血中のグルコースは給与飼料による有意な差は無く、インスリンおよびIGF-Iは低タンパク質飼料の給与により低くなった(P<0.05)。以上のことから、Cat-1のmRNA発現はタンパク質不足の影響を受けるが、Cat-2は影響を受けないことが明らかになった。 次に、現在エネルギー制限がCat-1およびCat-2発現量に及ぼす影響を調べる以下の実験について反復を繰り返している。処理区は、対照区と、対照区と同じCP21%の対照飼料を76%に制限して給与するエネルギー制限区および低タンパク質区である。先の実験では、低タンパク質区ではタンパク質のみが制限されていたが、この実験ではタンパク質栄養に加えてエネルギー制限状態となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブタを使ったタンパク質栄養についての実験およびサンプルの分析は当初の計画通り進んでおり、エネルギー制限に関する実験も想定の範囲内で実験を実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
低タンパク質状態におけるCat-1およびCat-2の発現量の変化については、飼養実験を終了し、サンプルの分析を進めてデータの収集が順調に進んでいる。現在、エネルギー制限がCat-1およびCat-2発現量に及ぼす影響を調べる実験の反復を繰り返している。今年度はこの飼養実験と平行して培養細胞を用いた実験を進め、栄養状態に適応した体内での栄養素およびホルモンの変化がCat-1およびCat-2の発現量に及ぼす影響について明らかにする。
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Causes of Carryover |
低タンパク質についての実験は順調に進んでいるが、エネルギー制限の実験については供試豚の準備(所内農場における生産)が思うように進まず、最大で見込んでいたより反復数が進んでいなかったため、飼料代などにかかる費用が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の終わりから現在までの間で、エネルギー制限の実験の供試豚が無事に確保できたので、繰り越しの実験を進め、予定していた額を使用する。
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