2014 Fiscal Year Research-status Report
牛白血病ウイルスの垂直伝播と発症リスクに関する研究
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26850175
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
目堅 博久 宮崎大学, 農学部, 助教 (90633264)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 牛白血病ウイルス / 垂直伝播 / 感染ウイルス量 / リスク因子 / 地方病性牛白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、牛白血病ウイルス感染母牛から生まれた新生子牛の血液を採材し、牛白血病ウイルスの垂直感染の確率およびリスク因子に関する解析を行った。牛白血病ウイルスに感染していた母牛129頭から生まれた子牛のうち、14頭(10.8%)で胎盤感染が、10頭(7.7%)で産道感染が認められた。計18.6%で子牛への胎盤および産道感染が起きたことになり、これは4-6%で垂直伝播するとした過去の報告と比べても高い値となった。次いで、胎盤・産道感染におけるリスク因子を明らかにするため、母牛の感染ウイルス量、分娩介助の有無、子牛の品種、母牛の出産回数と胎盤・産道感染との相関を比較した。母牛の感染ウイルス量と胎盤・産道感染の相関を比較したところ、感染ウイルス量の増加に比例して、胎盤・産道感染の確率が増加した。また、10 ngの抽出ゲノム中、牛白血病ウイルスの感染コピー数が400 copies未満の群では胎盤・産道感染の起こる確率が9.4%(9/95)であったのに対し、それ以上の群では48.2%(14/29)であった(P<0.01)。このことから、母牛の感染ウイルス量が産道・胎盤感染の重要なリスク因子であることが明らかとなった。続いて、分娩介助の有無、子牛の品種、母牛の出産回数と胎盤・産道感染との相関を解析したが、有意な違い認められなかった。 牛白血病ウイルスは主に水平感染で伝播する。そのため、感染牛の隔離、衛生対策が農場内での感染を防ぐために重要である。いっぽうで、感染率を下げるためには、非感染牛を増やす必要がある。繁殖母牛の感染ウイルス量を把握し、感染ウイルス量に基づいた更新計画、分娩計画を立てることが、非感染牛の増加につながる。なお、本研究成果はThe Veterinary Record誌に筆頭著者として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
牛白血病ウイルスの垂直感染の確率およびリスク因子の解析を当初の予定を上回る期間で終了し、誌上発表することができた。また、本研究の過程でウイルスの水平伝播に関するデータも集めることができたことから、農場における感染源の推定に関する研究成果をまとめ、The Journal of Veterinary Medical Science誌に投稿した(平成27年4月、採用決定)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は牛白血病ウイルスに垂直感染した牛の予後評価を行い、垂直伝播と発症との相関を解析する。具体的には増加している若齢の発症牛の解析を中心に行う。現在、解析を行っている6ヶ月齢の発症牛では、ウイルス遺伝子に大きな脱落が認められた。感染性分子クローンの作製などを通じて、この脱落による影響を評価する。また、発症との関連を探るため、垂直伝播したウイルスにどの程度変異が導入されるのかを解析する。
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Research Products
(6 results)