2015 Fiscal Year Research-status Report
牛白血病ウイルスの垂直伝播と発症リスクに関する研究
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26850175
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
目堅 博久 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 助教 (90633264)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 牛白血病ウイルス / 水平感染 / 感染ウイルス量 / 事故率 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は前年度の研究成果である感染ウイルス量をベースにした牛白血病ウイルス(以下、BLV)対策を活用し、地域レベルでのBLV対策を行った。宮崎県A地区におけるBLV感染状況と感染ウイルス量、各農場で分布するウイルスの遺伝子型を解析した結果、A地区の感染率は4.9%であること、感染ウイルス量が少ない牛が長期間(30ヶ月)に渡って感染源とはならないこと、農場間距離に依らずに各農場で異なる遺伝子型のBLVが分布することが明らかになった。この結果は、感染ウイルス量の高い牛に対する感染対策がより効率的であることやBLVが農場間伝播するのではなく、感染した牛の導入によって広がることを示す貴重な知見である。なお、本研究成果をJournal of Veterinary Medicine誌に筆頭著者として発表した。 また、BLVの感染ウイルス量と感染牛の予後との相関解析を行った。BLV感染ウイルス量が多い牛が感染源となること、免疫機能が低下することなどはすでに報告があるが、その牛の予後についてはわかっていない。現在、解析を終了し、感染ウイルス量が多い牛では感染ウイルス量が少ない牛と比較して有意に事故率が高いことが明らかになった。この結果はBLV感染症の被害が牛白血病の発症だけに限らない貴重な情報である。本研究成果については、現在、論文にまとめている段階で、平成28年度中の発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に牛白血病ウイルスに垂直感染した牛の予後を解析する予定であったが、飼養中の牛が多く、解析をするにはもう少し時間を置いたほうがいいと判断し、本年度は地域レベルでのBLV対策に関する研究を主に行った。当初の計画通り、3年目に垂直感染した牛の発症リスク解析を行えるため、本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は牛白血病ウイルスに垂直感染した牛の予後を解析する。垂直感染と発症リスクとの間に相関があることはヒトの腫瘍ウイルス感染症で知られているが、BLV感染症では感染経路と発症リスクとの相関は明らかになっていない。また、BLVの垂直感染が、近年、増加が示唆されている若齢牛での牛白血病増加の一因であるのかについても検討する。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進んでいるが、実験で使用する消耗品がキャンペーン価格等、割安で購入できたために使用額が1割程度当初の予定より余った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究が順調に進んでいることから追加実験を予定している。
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Research Products
(12 results)