2015 Fiscal Year Annual Research Report
微生物共生システムを基盤としたレジオネラ制御法に関する研究
Project/Area Number |
26850181
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
橘 理人 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 研究助手 (20636831)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Legionella pneumophila / Paramecium caudatum / 共生 / レジオネラ症 / ゾウリムシ / 解析モデル / 水系感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境中における病原体の生態に関して不明な点が多いことが一因となり、制御が困難である感染症の一つとしてレジオネラ症がある。レジオネラ症の主な原因菌であるレジオネラ・ニューモフィラは、環境中においてアカントアメーバのような原生生物に寄生していることが知られている。原生生物への寄生は、レジオネラに多大なメリットを与えていると考えらえているが、詳細に関して不明な点が多いままである。そこで本研究では、原生生物の一つであるゾウリムシを共生システム解析モデルとして用い、環境中におけるレジオネラの生態の解明を試みた。 先行研究により、レジオネラとゾウリムシの複数の分離株を得られている。これらの分離株を用いた様々な組み合わせの共培養を行った結果、両者の関係性が共生のみではなく、複数存在することが明らかになった。具体的には、レジオネラもゾウリムシも死なない共生型、寄生によりゾウリムシが死ぬ毒性型、レジオネラがゾウリムシに消化される消化型の3つに分類できることが認められた。そこで、初年度ではトランスポゾンを用いた変異株作成による関連因子の探索を行った。その結果、ゾウリムシへの細胞毒性が著しく減弱した変異株を得ることが出来た。本年度は、変異部の決定および相補株の作成を試みた。解析の結果、変異部位の同定がおよび相補株を作成することが出来た。そして相補株が、ゾウリムシへの細胞毒性が元に戻ることを確認した。LysoTrackerおよびpHrodo色素を用いた実験により変異株は、野生株および相補株と比較して、ゾウリムシ内でより早く消化が進むことが示唆された。加えて、この変異株はヒトのマクロファージ細胞株であるTHP-1細胞内においても増殖能が著しく低下していることが明らかになった。本研究の成果は、未だ不明の点が多いレジオネラの環境中における生態の解明の一助となることが期待される。
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Research Products
(3 results)