2014 Fiscal Year Research-status Report
新規催炎症分子DAPK3による炎症性腸疾患制御機構の解明
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26850182
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
臼井 達哉 山口大学, 獣医学部, 助教 (80727652)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DAPK / 炎症 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
Death associated protein (DAPK)ファミリー蛋白質はアポトーシスやオートファジーを制御することが知られている。申請者はこれまで、血管系においてDeath-associated protein kinase (DAPK)ファミリー蛋白質のDAPK3がTNF-αによる炎症性障害を介して高血圧症進展に関わることを明らかにした。DAPK3は消化管の炎症性反応誘導を介して炎症性腸疾患の進展に関わる可能性が十分に考えられるが、これまで全く検討されていない。また、様々ながんにおけるDAPK3の役割についてもほとんど明らかになっていない。そこで本研究ではDAPK3が炎症性腸疾患を制御するメカニズムとがん進展における役割を明らかにすることを目的とする。 本年度は炎症性腸疾患および大腸がんの初期病変として重要な腸上皮細胞の炎症性反応におけるDAPK3の役割を調べた。がん遺伝子H-RasV12を安定的に発現するマウス腸上皮細胞(aMOC1)を作成し、DAPK familyの蛋白質発現およびリン酸化(活性化)解析を行なった。H-RasV12 発現細胞においてDAPK3のリン酸化および各種細胞内シグナル(Akt, ERK, p38など)が有意に亢進した。しかし、DAPKs阻害薬によってこれらの亢進は抑制されなかった。また、炎症性反応時に重要なタイトジャンクション崩壊に及ぼすDAPK3の影響についてTER法を用いて検討した。しかし、DAPK3は炎症時のタイトジャンクション崩壊にはほとんど影響を及ぼさなかった。 大腸以外のがんにおけるDAPK3の役割を検討したところ、肺がん細胞株A549においてDAPK3がRas活性の制御を介して、細胞の増殖および遊走・浸潤を促進し、肺がんの進展に重要な役割を果たすことが明らかになった(2015年、日本薬理学会年会において口頭発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私は、DAPK3の炎症性腸疾患における役割とさまざまながんにおける機能を明らかにすることを目的として研究を行なった結果、DAPK3が肺がんを制御するメカニズムを詳細に検討することが出来たと考えている。学会においてもその研究成果を発表し、高い評価を受けた。従って期待以上の研究の進展があったと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度の研究結果を発展させるために、三次元がんモデルであるオルガノイド培養法を用いて新規肺がんモデルの作成をスタンフォード大学に留学して行う予定である。 そのシステムを用いてDAPK3を含めた様々ながん関連遺伝子の機能、薬剤感受性や放射線抵抗性の新たな分子メカニズムを明らかにする。
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