2015 Fiscal Year Research-status Report
狂犬病ウイルス野外株のRNAによる新規複製・転写制御機構の解明
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26850187
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 由紀 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30712492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 狂犬病ウイルス / 複製・転写調節 / RNA結合蛋白質 / UTR |
Outline of Annual Research Achievements |
狂犬病ウイルスはマイナス鎖の非分節型RNAゲノムをもち、3'側からLeader-N-P-M-G-L-Traler遺伝子がコードされている。狂犬病ウイルス野外株119検体の全長ゲノムを解析することにより、Leader-N 5' CDSおよびM 3'UTRにRNAレベルで高度に保存されている領域が存在することが明らかになった。そこでこれら高度保存領域の機能を解析するために、前年度から引き続き、M 3'UTRにおいては結合する宿主蛋白質の同定作業および宿主蛋白質の結合領域を決定する作業を行っている。SP6 ポリメラーゼを用いて作製したM 3'UTRにビオチンを結合し、アビジンビーズを用いてM3'UTRに結合する蛋白質の分子量をSDS-PAGEおよび銀染色によって解析したところ、40kDa-220kDaにかけて複数の蛋白質が結合することが明らかとなった。M3'UTR領域の複数箇所をdeletionしたRNAを合成し同様の作業を行ったところ、3'UTRの中央領域に蛋白質が結合する配列が存在することが示唆された。また、3'UTRはmRNAの翻訳後の発現調節に関わることがあるため、FireflyのLuciferase レポーター遺伝子の下流にN,P,M,G,L遺伝子の3'UTRを挿入し、レポーターアッセイを行った。その結果。M 3'UTRはコントロールと比較してレポーターの発現量が低く、また、qPCRを用いた解析でもレポータ遺伝子の発現量の低下が確認されたことから、M 3'UTRはM mRNAの翻訳後の発現を抑制している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はM3'UTRがmRNAの翻訳後調節に関わること、また宿主蛋白質が結合するRNA領域が明らかとなったため概ね順調に進展しているが、質量分析を用いたRNA結合蛋白質の同定作業に失敗しており、今年度は同定作業を最優先に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA結合蛋白質の同定作業を最優先に行う。また、同定された宿主蛋白質が狂犬病ウイルスの複製にどのように使われているのか、ノックダウン実験などを行うことによって明らかにする予定である。さらに、Leader-N 5'CDSの高度保存領域の解析はMini Genomeを用いたレポーターアッセイ(現在Plasmidを作製中)およびリバースジェネティクスを用いた狂犬病ウイルスのレスキュー実験によって解析を進める。
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