2015 Fiscal Year Research-status Report
バベシア原虫のマダニ中腸内ステージシフトに関わる遺伝子の探索的研究
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26850190
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
八田 岳士 北里大学, 医学部, 講師 (00455304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マダニ / 人工吸血実験系 / バベシア原虫 / ベクター / Migration / Transition |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マダニ媒介感染症の一つであるバベシア症において、ベクターステージで病原体の増殖や生存を阻害することが可能な伝播阻止ワクチンの開発を目指し、バベシア病原虫のベクターステージにおける増殖・分化・体内移行などのステージシフトにおいて重要な分子を解明することを目的とし当該補助金による支援のもと行っている。本年度は、人工吸血実験系によるバベシア―マダニベクターモデル実験系を用い、原虫がマダニ中腸を通過するに至る時間軸について着目しその動態について解析した。これによるとマダニ中腸内に取り込まれた原虫は、24時間以内であれば中腸壁を通過することが可能であり、一部の中腸細胞内に残存して生きながらえた原虫は非常に少ないものと示唆された。また、24時間以降では、中腸臓器はその他の卵巣等の臓器と異なり、原虫の分裂増殖の主要な場ではないことも示唆された。この時間軸をベースとした人工感染実験系をもとに、バベシア原虫のマダニ中腸ステージにおけるトランスクリプトーム解析を行った。前年度解析を終えた赤血球寄生ステージでの発現遺伝子リストとの比較Differenrially expressed genes解析により、原虫の糖代謝に関連する遺伝子の発現増強が確認できた。本成果は本研究遂行における基盤情報であり、最終年度の研究遂行に必須の知見をもたらした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宿主ステージ(赤血球寄生期)とベクターステージ(マダニ寄生期)の比較トランスクリプトームを終えた。これにより、ベクターステージにおいて発現量が高い遺伝子の候補を複数得ることができた。本年度成果をもとに遺伝子発現とマダニベクター体内の遷移経過時間を照らし合わせることが可能となったため、おおむね順調に研究が進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度ではバベシア原虫遺伝子の発現動態の解析を行う。H27年度のDEGs解析によって得られた情報を確認するため、ベクターステージにて発現量が増加する遺伝子(糖代謝関連遺伝子)について、定量RT-PCRによる発現量の定量解析を行う。また、大腸菌蛋白質発現系にて組換え蛋白質を作製し、マウスに免疫することによって特異抗体を得る。得られた特異抗体を用い、宿主ステージ・ベクターステージ初期における遺伝子発現動態を免疫蛍光抗体染色にて可視化する。これにより従来ブラックボックスで想定するしか情報の得られなかった原虫のベクターステージにおける遺伝子レベルおよび形態レベルでのトランジションについて動的なイメージングを行う予定である。
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Causes of Carryover |
試薬販売会社等への代金支払い振込に係る手数料の目論見額が、想定したよりも少なかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該残額については、その他費目に充当し、翌年度の代金支払い振込に係る手数料にあてることとする。
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Research Products
(3 results)