2014 Fiscal Year Research-status Report
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26850194
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
石原 加奈子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (60515849)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メチシリン耐性 / SCCmec / MLST |
Outline of Annual Research Achievements |
獣医療で問題となっている多剤耐性のメチシリン耐性Staphylococcus pseudintermedius (MRSP)は近年、世界各国で報告されている。特に欧州で認められるSCCmec II-IIIを持つST71が世界的に拡大していると言われている。日本の犬から分離されたMRSPも、欧州株と同じSCCmec II-IIIを持つ株が多かったが、多様性が認められた。日本のMRSPの起源を明らかにするため、新たに開発されたStaphylococcus pseudintermedius専用のMutilocus sequence typing (MLST)により型別を行った。その結果、日本のSCCmec II-IIIを持つMRSP 25株のうち、11株は欧州株と同じST71に分類されたが、残る11株はST169、3株はST354に分類された。ST169は、検査対象の7遺伝子のうち2遺伝子がST71と異なり、ST354はST169とは1遺伝子、ST71とは3遺伝子が異なった。また、北米で多く認められるSCCmec Vを持つ日本のMRSPは、ST121, ST276, ST323およびST324に型別され、北米のST68とは関連が認められなかった。 薬剤耐性遺伝子を検索したところ、日本のSCCmec II-III型のMRSPが持つ薬剤耐性遺伝子は欧州株の持つ遺伝子と類似していたが、ST169およびST354は、ST71が持たないtetMを保有していた。 これまで、SCCmec II-IIIを持つMRSPは、1つのクローンが世界的に拡大したと考えられていたが、日本のMRSPは、欧州株と同じST71だけでなく、その関連遺伝子型に分類され、SCCmec II-IIIが、関連する複数のMRSPクローンに保有されていることを本研究で明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、日本の犬から分離したMRSPの遺伝子型を決定することにより、海外のMRSPとの関係を明らかにすることが出来た。特に、塩基配列を決定した7遺伝子のうち、複数の遺伝子の配列が異なった結果は、MRSP出現や拡大を考える上で、重要な知見を得られたと考えられる。これらの結果については、論文としてまとめ、国際誌に投稿済みである。 また、平成26年度の予定を概ね終わらせることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS)が、SCCmecの起源と考えられているが、本研究で供試しているMRSPを分離した材料からは、メチシリン耐性CNS (MRCNS)も分離されている。このMRCNSは、MRSPと類似したSCCmec構造を持つことが一部確認されているため、その構造をより詳細に確認する。 その手法として、まずはPCR mappingにより各遺伝子の配置を確認する。SCCmecの全体をPCR mappingにより推定した後に、塩基配列を決定する予定である。 PCR mappingによる構造の推定、遺伝子の増幅が難しい場合には、次世代シークエンスによる構造決定を行いたい。
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Causes of Carryover |
効率的にMultilocus sequence typingが実行できたため、使用額が予定より節約できた。また、spa typingを試みたが、半分以上の株でspa遺伝子が増幅できなかったため、塩基配列の決定を実施できず、予算が消化できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度以降は、MRCNSのSCCmec構造を推定、決定する予定である。すでに一部の検査に着手しているが、MRSPのSCCmecと異なる領域も認められているため、PCRや塩基配列決定に予算がかかると考えられ、平成26年度の余剰分も効率的に利用したいと考えている。
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Research Products
(1 results)