2016 Fiscal Year Research-status Report
感染牛の初乳中抗体を活用した牛白血病ウイルス感染予防薬の開発
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26850203
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小西 美佐子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門 ウイルス・疫学研究領域, 上級研究員 (20355168)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 牛白血病ウイルス / 初乳抗体 / 感染抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 抗BLV免疫グロブリンの標的蛋白の解明 BLV感染牛の初乳から精製した抗BLV抗体(初乳抗体)の標的蛋白を解明するため、BLVのEnv、Pol、TaxおよびGag蛋白質を大腸菌組換え蛋白質として発現させた。また、BLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞の培養上清よりBLVを精製し、これを抗原として用いたウエスタンブロット法により、初乳抗体が特異的に結合する蛋白質の解明を試みた。今後、検体数を増やしてさらに主となる標的蛋白を検証する予定である。 2. FLK-BLV細胞のマイトマイシンC処理の条件検討 初乳抗体によるBLV感染抑制能の評価法を開発するため、マイトマイシンCを用いてFLK-BLV細胞の自己増殖能を消失させる条件を検討した。マイトマイシンC未処理および処理済みのFLK-BLV細胞を同条件で培養したところ、後者では細胞数の増加は認められなかった。今後、マイトマイシンC処理および未処理のFLK-BLV細胞と初乳抗体を反応させてシンシチウム形成抑制試験を実施し、初乳抗体によるBLV感染抑制能を検証する予定である。 3. Large Scaleでの初乳抗体精製法の改良 1頭の牛から1回の搾乳で得られる初乳は約3Lと多く、研究室規模の器具での精製は困難であった。そこで今年度は、精製法を改良するため、市販のクリームセパレーターおよび高圧ろ過器を用いた抗体精製を試みたところ、乳清分離ならびに乳清からの夾雑物除去をより効率的に実施することが可能となった。なお、H28年度は産休および育休取得により研究を中断したため、これらは中断前の本年度の成果となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗BLV免疫グロブリンの標的蛋白の解明において、精製ウイルスだけでなく、組換えタンパク質を抗原として使用することにより、より的確に初乳抗体の標的蛋白が検証できるものと考えられる。 また、マイトマイシンC処理によるFLK-BLV細胞の自己増殖能消失に成功したため、今後の解析を効率的に推進できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
精製ウイルスおよび組換えタンパク質を抗原として用いたウエスタンブロット法により、初乳抗体の標的蛋白を検証する。 また、マイトマイシンC処理済みのFLK-BLV細胞に対し初乳抗体を反応させ、初乳抗体によるBLV感染抑制能を検証する。 さらに、BLV感染牛の末梢血白血球と初乳抗体を反応させ、初乳抗体により感染抑制可能なウイルス量をシンシチウム形成抑制試験およびリアルタイムPCR法を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
産休・育休取得のため、H28年度の研究を中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬やプラスチック製品等の消耗品購入費および旅費として使用する。
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