2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26850204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 聡一郎 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 助教 (50596864)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生理学 / 機械受容チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マウスにおいて撫でられるなどの心地よい触覚を感知する知覚神経であると報告されているMrgprB4陽性背根神経節(DRG)神経がどのように触覚を感知しているのかを明らかにすることを目的としている。その目的に向け、MrgprB4陽性神経において赤色蛍光タンパク質(mtdtomato)を恒常的に発現するマウスを導入し、分離したDRG神経の中からmtdtomatoの蛍光を指標にMrgprB4陽性神経を選別し、その生理学的及び薬理学的特性を調べた。 文献によるとMrgprB4陽性神経は直接的な機械刺激に反応しないという報告があった。しかし、前年度の実験により、MrgprB4陽性神経をガラスピペットで直接物理的に刺激すると細胞内カルシウム濃度の上昇という反応が認められた。 そこで最終年度では、より安定して同じ条件で物理的に刺激ができるよう、低張圧の細胞外液を適用し、細胞を膨化させる方法で機械刺激を行った。すると、50 mMのNaClを除いた低張圧の細胞外液の適用により、細胞内カルシウム濃度の上昇が確認された。この反応は50 mMのNaClを除くが、代わりに100 mMのマンニトールを加えて浸透圧を維持した溶液の適用では起きなかったことから、浸透圧の変化によって起こることが示唆された。また、細胞外液中のカルシウムを除いた条件では、細胞内カルシウム濃度上昇が大きく減弱したことから、細胞外からのカルシウムの流入が起きていることが示唆された。さらに、機械刺激により反応するとされるTRPチャネルの阻害薬では阻害されなかった一方、Piezoチャネルの阻害薬では阻害された。免疫染色によってもMrgprB4陽性神経においてPiezo2チャネルの発現が示された。 以上の結果より、MrgprB4神経においてPiezo2チャネルが機能的に働く可能性が示唆された。
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