2014 Fiscal Year Research-status Report
多色細胞系譜マウスを用いた膵島形成機構の解明および膵島作製に関する研究
Project/Area Number |
26850214
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
吉田 真子 関西医科大学, 医学部, 講師 (40392170)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵臓 / 内分泌前駆細胞 / β細胞 / ノックインマウス / 細胞系譜追跡実験 / 発生生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓の発生過程において、膵管より内分泌前駆細胞が離層し、膵島が形成される分子機構が次第に明らかになりつつある。しかしながら、個々の細胞がどのような仕組みで集合・分化・増殖し、膵島が完成するのか、未だ不明な点も多い。そこで、本研究では膵臓の内分泌前駆細胞を可視化し、個々の細胞動態を詳細に追跡することを目的として、Neurogenin3(Ngn3)プロモーターの下流領域にVenus(黄色蛍光タンパク質)およびCre-ERT2(Creリコンビナーゼと変異型エストロゲンレセプターの融合タンパク質)をコードする遺伝子を挿入したNgn3-Venus-CreERT2ノックインマウスの作製を試みた。本マウスとRosa26-rainbowマウス(loxP配列を含むレポーターマウス)を交配したNgn-Venus-CreERT2; Rosa-rainbowマウスでは、タモキシフェン投与によって誘導的にNgn3陽性内分泌前駆細胞が標識され、詳細な多色細胞系譜追跡実験が可能となる。一方、タモキシフェン投与が胚発生に対して悪影響を及ぼす可能性が示唆されるため、ドキシサイクリン投与による誘導的な細胞標識が可能なTet-On-Creシステムを利用したNgn3-IRES-rtTAノックインマウスの作製を同時に行った。 上記のNgn3-Venus-CreERT2およびNgn3-IRES-rtTAノックインマウスを作製するため、ターゲティングベクターを調製した後、材料となるES細胞に遺伝子を導入し、相同組換えを起こした細胞株を複数樹立した。PCRおよびサザンブロッティング法を用いて、相同組換えの確認を行った。また、染色体標本を作製し、核型解析を行った。現在、胚盤胞へのES細胞のインジェクションを進めており、キメラマウスを作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Ngn3-Venus-CreERT2およびNgn3-IRES-rtTAノックインマウスの新規作製に際し、ターゲティングベクターの構築に当初の予定よりも時間を要した。その間、サザンブロッティング用のプローブを複数作製し、条件検討を行った。また、in vitroにおいて機能的膵島を効率的に作製するための培養条件の検討について、材料となるマウスを現在準備中であるため、予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)多色細胞系譜追跡実験 Ngn3-Venus-CreERT2およびNgn3-IRES-rtTAノックインマウス作製を急ぐ共に、並行して既存のマウスを用いた予備実験を実施する。具体的には、胎生期マウスより膵臓組織を摘出した後、ビブラトームを用いて新鮮切片を作製し、in vitroで膵島発生を再現するための最適な培養条件を検討する。これにより、Ngn3-Venus-CreERT2; Rosa-rainbowないしNgn3-IRES-rtTA; Tet-On-Cre; Rosa-rainbowマウスから調製した膵臓を用いた多色細胞系譜追跡実験が、固定標本だけでなく、3次元タイムラプスイメージングを用いた解析が可能となる。 (2)膵島作製実験 Ngn3-Venus-CreERT2マウスより、FACSAriaセルソーターを用いてNgn3-Venus陽性内分泌前駆細胞を分取し、in vitroで細胞塊としてβ細胞を誘導するための最適な培養条件を模索する。このとき、実験(1)で得られた知見を有効に活用する。
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