2014 Fiscal Year Research-status Report
異なる情報を利用するミツバチの予測的採餌行動の研究
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26850219
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
原野 健一 玉川大学, 学術研究所, 准教授 (80459297)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会的学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミツバチの花粉採餌蜂は、飛行燃料としてのハチミツ(燃料蜜)に加え、採集した花粉を団子状に形成するためのハチミツ(つなぎ蜜)を、蜜胃に積載して、出巣する。26年度は、花粉採餌蜂が自らの採餌経験によって得た情報と、尻振りダンスを通じて得た情報のそれぞれをどのように出巣時積載蜜量の調節に利用しているかを調べ、以下の結果を得た。 1)ダンス蜂およびダンス追従蜂において、餌場までの距離に応じて出巣時積載蜜量が有意に増加していた。2)ダンス蜂は、ダンス追従蜂に比べ有意に出巣時積載蜜量が多かった。3)採餌蜂は、持ち帰る花粉団子のサイズに一貫性があり、出巣時積載蜜量は団子サイズと正の相関を示した。4)ダンス追従蜂の出巣時積載蜜量も、その蜂が追従したダンス蜂の花粉団子サイズに依存していた。 これらの結果から、花粉採餌蜂は、採餌経験を通じて燃料とつなぎ蜜の必要量(多くの花粉を収穫できる場合ほど多くなる)を学習し、それにあわせて出巣時積載蜜量を調節していると考えられた。また、ダンス追従蜂はダンスから餌場距離を学習し、燃料蜜量の調節に役立てているだけでなく、つなぎ蜜の必要量も何らかの形で学習し、利用していることが示唆された。 採餌の成否と残存蜜量の関係について調べたところ、花粉ダンス追従蜂の大部分は採餌が失敗した際にも、蜜胃に蜜を残して帰巣し、その残存蜜量は飛行時間と負の相関があることが明らかになった。また、追従したダンス蜂の花粉団子が大きい場合に、飛行時間の延長と残存蜜量の減少が見られたことから、追従蜂は質の良いエサ場を探索する場合には、つなぎ蜜を燃料に転用して、探索を延長している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
花粉採餌蜂が、自らの経験を通じて餌場の距離やつなぎ蜜の必要量に関する情報を得て、それをもとに出巣時積載蜜量を適応的に調節していることを明らかにすることが出来た。また、そのような情報は、ダンスを通じて巣内で表現され、巣仲間によっても利用されていることを示した。このように、花粉採餌蜂が「餌場距離」「つなぎ蜜の必要量」についての情報をどのように利用しているのかに関しては、十分に目的を達成できた。花粉採餌蜂が利用している情報は他にもあると考えられ、それらについての研究を継続して行っていく。出巣時積載蜜の必要量についての予測が外れた場合の対処行動についても、ほぼ目標を達成した。ただし、1コロニーで行った結果しかないので、別のコロニーでこの結果を確かめる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は予定した計画を行い、目標をほぼ達成することが出来たので、申請書に記載した計画に沿って進めていく。出巣時積載蜜の必要量についての予測が外れた場合の対処行動については、結果を別コロニーで確認する。
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Causes of Carryover |
論文の出版が遅れたため、英文校正の経費が使われなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在準備している論文原稿の英文校正費・および別刷り代として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)