2015 Fiscal Year Annual Research Report
微細藻類ユーグレナにおけるバイオ燃料生産増強および制御に向けた研究
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26850223
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中澤 昌美 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (90343417)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオディーゼル燃料改質 / ユーグレナ / ワックスエステル / 低酸素下代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微細藻類ユーグレナが低酸素条件下で生産するバイオ燃料、ワックスエステルについて研究を進めた。実用化が模索される中、ワックスエステルを生産する低酸素下でのユーグレナ代謝には未だ不明な点が多く、ワックスエステル生産量の向上やより良い性質のワックスエステルを生産することを達成するには、基礎的な知見が不足している状況であった。研究当初掲げた目的は以下の2点である。【1】RNAi によるノックダウンの結果、貯蔵多糖・ワックスエステル量が変動する、ミトコンドリア糖代謝・脂質代謝関連酵素を探索する。【2】低酸素状態への初期応答に関与する細胞内情報伝達経路を、シグナル伝達阻害剤を用いて絞り込む。研究を進める中で、【1】に示したノックダウンによる代謝解析実験にて大きな進展があったため、研究は主に【1】の項目において進めた。
解糖系、TCA回路、低酸素下脂質合成系の各酵素に着目し、RNAiによる発現抑制実験を行った。その中で「3-ケトアシルCoAチオラーゼ(KAT)」のノックダウン実験から得られた成果について概説する。KATはユーグレナの低酸素下脂質合成経路の中で、アセチル-CoAの縮合による脂肪酸伸長反応を触媒する酵素である。本研究においてKAT遺伝子候補を6種見出し、その中で3種類がワックスエステル合成経路で機能していることを明らかにした。ノックダウン細胞におけるワックスエステル量および組成の解析から、1種は短鎖~中鎖脂肪酸伸長酵素として、2種は中鎖~長鎖脂肪酸伸長酵素として機能していることを見出した。さらに、予想しなかった成果として、中鎖~長鎖脂肪酸伸長酵素の発現を抑制すると、ワックスエステル生産量はほとんど変化しなかったが、短い脂質鎖からなるワックスエステルが合成できた。このように、代謝改変により低温適性の向上したバイオ燃料を生産することに成功した。
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Research Products
(2 results)