2014 Fiscal Year Research-status Report
鳥類の生物多様性の維持機構と景観構造との関連に関する研究
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26850228
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
鈴木 透 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (20515861)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 鳥類 / 景観構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生生物との共生を含めた生物多様性の保全を実現するための社会的枠組みにおいて、生物多様性を質的・面的に評価することが重要である。また、ある地域における生物多様性の保全対策には1ヶ所の生物多様性を保全するだけではなく、地域全体の生物多様性の維持機構を解明し、地域全体の生物多様性を保全することが重要である。本研究では、北海道江別市における多様な景観構造を持つ森林パッチを対象として鳥類の多様性を調査し、生物多様性の階層性や景観との関連性を把握することで森林を利用する鳥類の生物多様性の維持機構を解明することを目的としている。具体的には3年間で①森林パッチの景観構造の定量化、②鳥類の多様性の把握、③生物多様性の階層性と景観との関連性の分析を行うことを計画した。 平成26年度は、まず江別市における基盤情報に関してGISデータベースの構築を行った。同時に、衛星画像(ALOS2)を用いた画像分析を行い、森林パッチのGISデータを作成した。作成したGISデータを基に、調査地の選定(82箇所)を行い、森林の分布や空間配置などの基本的な景観構造を定量化した。また、選定した82箇所の調査地においてICレコーダーを用いた鳥類相の調査を行い、各調査地点における鳥類相を把握した。 得られた鳥類相のデータを用いて、地域スケール・景観スケールで鳥類の生物多様性の維持機構を評価した結果、地域スケールでは景観の非代替性は低い結果を示した。また景観スケールでは構造の不均質性により種の多様性を維持している傾向を示した。この成果は野生生物と社会学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、基盤情報に関してGISデータベースの構築、衛星画像を用いた画像分析、森林の分布や空間配置などの基本的な景観構造を定量化、鳥類相の調査を行うことを計画した。 GISデータベースの構築と衛星画像の画像分析により得られた成果から、計画通りに江別市における基本的な景観構造を定量化を行った。また鳥類相の調査はICレコーダーを82箇所に調査地に設置し、音声データを収集した。多くの調査地(約60箇所)については音声データを分析し、鳥類相を把握することができた。しかし、一部の調査地(約20箇所)については、研究補助員を十分に確保できなかったことから音声データのみの記録にとどまった。 以上より、現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
鳥類相の調査に関しては引き続き調査を継続し、音声データを引き続き収集する。音声データから鳥類相を把握するための分析については、平成26年度では人員確保の問題からすべてのデータを分析することができなかったが、本年度以降は継続的に人員を確保することで鳥類相のデータを蓄積できるように体制を整える。 また、景観構造については計画通り進んでいるため引き続き今年度予定している空中写真を用いた詳細な森林構造の把握を行う。さらに、最終年度の取りまとめに向けて得られたデータから随時鳥類の多様性や景観構造との関係性についての予備分析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品である衛星画像、HDDの価格が当初より安く購入可能となったことに加え、鳥類の音声判読ができる研究補助の確保が十分でなく、人件費が予想より少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
鳥類の音声データを分析する研究補助にかける人件費に充当する。
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Research Products
(1 results)