2015 Fiscal Year Annual Research Report
合成ヘリセンオリゴマーによる金表面二重ラセンの形成と刺激応答性機能性物質の開発
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26860005
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
山本 浩司 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 特別協力研究員 (80725557)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子ドナー / 三次元パイ電子骨格 / スリットバタフライ骨格 / バタフライ骨格 / 外部刺激応答性 / 安定ラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,外部刺激応答性固体表面の開発を目的としている.その達成には外部刺激に対して可逆的応答を示す分子骨格の構築が不可欠である.前年度は,2,7-ジtBu-ジメチルアクリジンをC-CおよびN-N結合で連結した,ヘリセン型のテトラメチルビアクリジン誘導体 (TBA)が,酸添加・中和という化学的刺激に応答して可逆的な電子移動反応を起こすことを明らかにした.この結果は,ヘテロ原子を導入した三次元π電子系ヘテロ環化合物が外部刺激応答性分子として有望であることを示している.今年度は,新たな三次元π電子系ヘテロ環化合物を合成し,新奇な物性・機能を探索した. 分子中央部にスリット構造を有する新規な三次元バタフライ型π電子系分子シクロビスアザアントラセン類が,対応するジブロモ単量体のC-C結合形成を経る環化二量化によって高収率で得られることを見出した.さらに分子内N-N結合形成によりスリットを閉環し,三次元バタフライ型または二次元平面のπ電子構造を有するヒドラジノビスアンテン類を得た.特徴的な性質として,ヒドラジノビスアンテン類は低い酸化電位を示し,可逆的な2電子酸化が可能であった.すなわち,良好な新規電子ドナー骨格であることがわかった.これを反映して,この化合物は酸存在下で容易に酸素酸化を起こし,一電子酸化されたラジカルカチオンを与えた.これは安定ラジカルであり,空気中溶液状態でも分解しない.生じたラジカルをトリエチルアミンおよびヒドラジンで処理すると,原料を定量的に再生できることも見出した.
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Research Products
(12 results)