2015 Fiscal Year Annual Research Report
RNAを標的とした擬ロタキサン形成による新規翻訳制御法の開発
Project/Area Number |
26860007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鬼塚 和光 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00707961)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 擬ロタキサン / DNA / RNA / 翻訳阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生理的条件下で標的核酸に対し貫通構造である擬ロタキサン構造体を効率的に構築すること、およびその技術を利用した新しい翻訳制御法の開発を目的とした。前年度までの研究で我々は、一対の反応性オリゴDNA(ODN)を標的核酸に加えて二本鎖を形成させることで、二種類の化学反応を誘起させ、貫通構造を構築することに成功していた。しかし、この形成収率はDNAに対して80%、RNAに対して70%で頭打ちになっていた。そこで本年度は最初に標的核酸に対する貫通構造構築の最適条件を探索した。分子の設計は以下三点に着目し行った。 ①反応性基を伸長しているヌクレオチド間の塩基数 ②リンカーを挿入する部位 ③アジド基を修飾しているPEGリンカーの長さ 合成した種々の反応性ODNは組み合わせを変え、貫通構造形成反応をゲルシフトアッセイにて系統的に解析した。その結果、いくつかの組み合わせで既存のものより、高効率、高収率で反応が進行し、RNAを標的にしたときに最大、5分で85%の反応を見出すことに成功した。 次に、この最適化した反応性ODNの翻訳阻害効果を調査した。まず、ホタルルシフェラーゼの配列を持つmRNAに対し合成した反応性ODNを反応させ擬ロタキサン構造体を形成させた。そのmRNAおよび細胞抽出液を用いて、試験管内で翻訳反応を行い、ルシフェラーゼ発光を調査した結果、試した反応性ODNに翻訳阻害効果は観測されなかった。その原因として、複合体の安定性が翻訳阻害のために十分ではなかったことが考えられる。そこでリンカー部位をPEGリンカーからカチオン性のリンカーに変更することで、貫通構造の安定性をさらに高めることにした。本研究期間中にはカチオン性のリンカーをもつ反応性ODNの合成まで終了した。今後、同様のアッセイにより翻訳阻害効果を調査していく予定である。
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