2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26860008
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原田 慎吾 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50722691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カルベノイド / アミド / ロジウム / 金 / ヘテロ環 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属カルベノイドの挿入反応は、結合形成と結合開裂を一挙に起こす独特な分子変換法である。一般的な金属カルベノイドの化学では、C-H結合や炭素-炭素多重結合への挿入反応が知られており、様々な合成展開が既に達成されている。今回、我々は強固なアミドC-N結合へのカルベノイド挿入反応の開発を検討した。本挿入反応は過去に報告例がなく、複雑な骨格を持つ窒素架橋型分子の新規合成法に成り得ると考え、本研究を開始した。 種々の検討の結果、新たに設計したRh2(NHCOtBu)4触媒存在下、分子内にラクタム構造を有するジアゾ化合物をジクロロメタン/ジオキサン混合溶媒中で反応させたところ目的のアミド結合への挿入反応が進行し、アザビシクロ環骨格を持つ化合物を得ることに成功した。基質一般性の検討を行ったところ、広い適用範囲を示すことがわかり、様々な窒素渡環型化合物が合成可能であることを見出した。本生成物はジケトン構造を有するため、その位置選択的官能基化を検討したところ、良好な選択性で認識することが可能となった。合成した窒素渡環型化合物からアセチルコリン受容体拮抗剤であるAnatoxin-aの形式全合成に成功した。 また本反応は反応性の低いアミド窒素原子がカルベノイド炭素に求核攻撃することにより進行している点に着目した。アミド窒素近傍に反応性の高い求電子種を発生させれば、同様の反応機構にて窒素イリドが発生し、引き続き生じた電荷を解消するように反応が進行すれば、アミド窒素原子を求核種とする反応開発・展開が可能となる期待した。様々な検討の結果、求核剤の存在下、分子内にアルキンを有するラクタムに対し、金触媒を作用させた所、連続環化反応が進行し、官能基化されたキノリジジン誘導体およびインドリジジン誘導体が得られる事を見出した。
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