2015 Fiscal Year Annual Research Report
芳香環上の電子密度を操るヘテロ環構築法の開発とフロフランリグナン類全合成への応用
Project/Area Number |
26860013
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
稲井 誠 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (20621626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フロフランリグナン / プリンセピン / ヘジオトール A / プロリンアルドール / C-H挿入反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は26年度に確立したヘジオトール A の合成経路を基盤としてセサミノール,メチルピペリトール,アスカンチンなどの非対称フロフランリグナン類の全合成を検討すると共に,ハイブリッドがたフロフランリグナンであるプリンセピンの合成を検討した.ハイブリッド型のフロフランリグナンには従来にはない生物活性も期待でき,活性相関研究にも興味が持たれる. プリンセピンの合成では,安価なアスコルビン酸を用いたキラルプール法を適用することで,その全合成と絶対立体配置の決定を行うことができた.すなわち,アスコルビン酸から5段階にて合成可能な光学活性グリセロール誘導体に対し,芳香環部を導入した後,酸性条件に付すことでキノンメチイドを経由したベンゾジオキサン骨格を構築した.一方,ヘジオトール A の合成にて確立したプロリン触媒を用いた交差アルドールを適用して,フロフランリグナン骨格の母核となる光学活性なラクトンを合成した.両者を強塩基存在下にアルドール反応にて縮合した後,還元して環化前駆体を合成した.最後に,キノンメチドを経由する生合成模倣型の環化反応を行うことで,プリンセピンの初の全合成を達成した.合成した化合物の比旋光度を天然物と比較することでその絶対立体配置も決定した. 本合成は,大量合成並びに誘導体合成にも適用可能な柔軟性に富むものであり,生物活性評価や,イソプリンセピンなどの類縁体の全合成や他のハイブリッド型フロフランリグナンの合成が可能である.これらの結果は,今後この分野の発展に寄与するものと考えている.
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Research Products
(5 results)