2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26860016
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
久松 洋介 東京理科大学, 薬学部, 助教 (80587270)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自己集積 / 細胞死 / 金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ぺプチドを導入したリガンドと金属イオンが1:3の比で自己集積化することにより活性を発現する自己集積型がん治療薬の創製を目的とする。 本年度は、カチオン性ペプチドを導入した1,10-フェナントロリンリガンド、Fe2+もしくはZn2+を用いて水溶液中で自己集積体を構築し、それらを用いてヒト白血病T細胞株であるJurkat細胞に対する細胞死誘導活性を評価した。その結果、金属およびリガンド単独の場合と比べ、リガンド/ Fe2+=1:3の比で混合した場合に、細胞死誘導活性の向上が見られた。一方、リガンド/ Zn2+=1:3の比で混合した場合は、活性の低下が見られ、金属の種類によって、活性を制御できる可能性が示唆された。しかし、リガンドとして用いた1,10-フェナントロリン誘導体は、水溶液中で金属イオンと安定な錯体を形成できる利点があるものの、それ自身の毒性が高いことが問題点として挙げられ、現在、より低毒性のリガンドの設計・合成を進めている。また、自己集積体の細胞死誘導メカニズムは、全く不明であり、現在、その解明に向けて研究を展開している。 一方、イリジウム錯体とリガンドの1:3錯体として、カチオン性ペプチドを導入したトリスシクロメタレート型イリジウム錯体についても研究を進めており、こちらの錯体は、がん細胞選択的な細胞死誘導活性を有することを見出した。さらに、細胞死誘導メカニズムに関しても詳細な検討を行った結果、イリジウム錯体による細胞内カルシウム濃度の上昇が、細胞死を引き起こす要因となっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ぺプチドを導入したリガンドと金属イオンからなる自己集積体の構築と細胞死誘導活性の評価法を確立できた。今後は、化合物の最適化によって有望な自己集積型薬剤の創出へ展開できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1,10-フェナントロリンリガンドよりも低毒性が期待できるビピリジン骨格のリガンドに変更することで、リガンド自身の活性を制御する。新たに設計・合成したリガンドと種々の金属イオンによって得られる自己集積体による細胞死誘導活性評価に加えて、細胞死誘導メカニズムについて詳細に検討する。具体的には、細胞に作用する種々の薬剤、阻害剤を用いて、自己集積体の細胞死誘導活性に対する阻害剤の効果を評価する。
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