2014 Fiscal Year Research-status Report
神経毒性アミロイドβ凝集体構造決定と分子間相互作用解析
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26860020
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
池田 恵介 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (00553281)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アミロイド / 脂質膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質膜に結合したアミロイドβ構造解析をおこなうため、Aβが安定に膜に結合・構造形成する条件の検討をおこなった。これまでにAβとの相互作用が報告されている脂質膜系(負電荷を持つ脂質膜またはゲル相の脂質膜)を用いて、Aβの脂質膜への結合、分子構造変化、および凝集体形成を評価した。蛍光法を用いてAβ―脂質膜間結合を評価したところ、粒径の小さい脂質二分子膜ベシクル(膜曲率が高い)に対して、Aβの結合性が増大することが明らかとなった。また、膜上でAβはαヘリックスおよびβシート構造を形成することがCDスペクトル測定により明らかとなった。チオフラビンT蛍光測定および透過型電子顕微鏡観察から、膜上でのAβ密度が高い条件で凝集体の形成が促進されることがわかった。この凝集体形成には、1-2週間程度のインキュベートを要した。膜上でのAβ構造を明らかにするため、蛍光消光法とアミノ酸変異を組み合わせた解析をおこなったところ、脂質膜環境が異なると、膜結合Aβのアミノ酸配列上でのαヘリックス形成部位が異なっていることが示唆された。より詳細な分子構造解析のため、既に確立している二次構造決定法に加え、新たなスペクトル解析・構造決定法を開発した。これを用いて、現在のところモデルタンパク質試料において、立体構造モデルの決定、会合体中のタンパク質分子間相互作用解析が可能であるという結果を得ており、アミロイドβ構造解析にも利用できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的のひとつとしていたアミロイド凝集体試料の作成法が確立できた。タンパク質構造についても一定の情報がすでに得られている。スペクトル解析および構造解析法を開発し、凝集体中のタンパク質の立体構造、分子間相互作用を明らかにするための方法が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
凝集体中のアミロイドβ構造を詳細に解析する。これまでに確立した方法で、アミロイドβ凝集体を調製し、アミロイドβ凝集体の安定同位体標識試料のスペクトル解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、当初の計画に比べ、研究成果発表のための国内旅費が少なかったことが挙げられる。これは招待講演などで旅費の支援を他機関から受けられたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会参加旅費に充てることで、より積極的に研究成果を発信していく。
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