2015 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化脂質ナノ粒子を基盤とする新規siRNA吸入粉末剤の開発
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26860029
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
奥田 知将 名城大学, 薬学部, 助教 (20513857)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己組織化ナノ粒子 / 吸入粉末剤 / siRNA / 粒子設計 / 核酸デリバリー / 噴霧急速凍結乾燥法 / 多孔性微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度に最適化した組成を基に調製したsiRNA/脂質粉末微粒子を用いて、カスケードインパクターによるin vitro吸入特性評価とともに、マウス肺内投与後のsiRNAの体内動態・構造安定性評価および肺障害性評価を行った。 In vitro吸入特性評価の結果より、賦形剤として汎用されるマンニトールの代わりに疎水性アミノ酸 (フェニルアラニンおよびロイシン)を用いることで、siRNA/脂質粉末微粒子の肺深部送達性を大きく向上することに成功した。 siRNAの体内動態・構造安定性評価の結果より、粉末微粒子を水に溶解することで調製したsiRNA/脂質ナノ粒子溶液の肺内投与では、その静脈内投与あるいはナノ粒子化していないnaked siRNA溶液の肺内投与および静脈内投与と比較して、siRNAが構造を維持したまま肺内で局所的に分布・滞留することが明らかとなり、siRNAの肺疾患治療応用に向けてナノ粒子化と吸入剤応用の組み合わせによる有用性が示された。また、siRNA/脂質粉末微粒子を肺内投与した場合においても、siRNA/脂質ナノ粒子溶液の肺内投与と同様の結果が得られたことから、当該研究の主目的である『粉末微粒子が肺内で沈着・溶解して自発的にsiRNA/脂質ナノ粒子を形成する』ことを間接的に証明する事ができた。 肺障害性の指標として、気管支肺胞洗浄液中の乳酸脱水素酵素 (LDH)および炎症性サイトカインを定量した。対照群 (水を投与)と比較して、siRNA/脂質粉末微粒子投与群およびsiRNA/脂質ナノ粒子溶液投与群ともに、LDH量の有意な増加が認められなかった一方、炎症性サイトカイン量の増加が見られた。興味深い点として、両評価ともにsiRNA/脂質粉末微粒子投与群の方がsiRNA/脂質ナノ粒子溶液投与群よりも肺障害性が軽微な傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究とは別件のプロジェクトで長期間に渡り海外へ研究留学していたため、本年度は当初計画していたように研究を進めることができなかった。 本年度に実施予定であった当該研究計画のうち、『siRNA/脂質粉末微粒子の吸入特性の評価』は予定通り完了できたものの、『siRNA/脂質ナノ粒子による遺伝子発現抑制効果および細胞毒性の決定因子の追究』と『siRNA/脂質粉末微粒子分散添加後の遺伝子発現抑制効果、細胞毒性、およびsiRNAの細部内取り込み・細胞内動態の評価 (in vitro)』の2項目については現在進行中の状況にある。一方、次年度に実施予定であった『siRNA/脂質粉末微粒子肺内投与後のsiRNAの体内動態および構造安定性の評価 (in vivo)』および『siRNA/脂質粉末微粒子肺内投与後の肺障害性の評価 (in vivo)』の2項目に着手し、ある程度の成果が得られるまで進めることができた。 以上の点から判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、本年度中に完了できなかった『siRNA/脂質ナノ粒子による遺伝子発現抑制効果および細胞毒性の決定因子の追究』、『siRNA/脂質粉末微粒子分散添加後の遺伝子発現抑制効果、細胞毒性、およびsiRNAの細部内取り込み・細胞内動態の評価 (in vitro)』、『siRNA/脂質粉末微粒子肺内投与後のsiRNAの体内動態および構造安定性の評価 (in vivo)』、および『siRNA/脂質粉末微粒子肺内投与後の肺障害性の評価 (in vivo)』の4項目を進めるとともに、当初の予定通り『siRNA/脂質粉末微粒子肺内投与後の遺伝子発現抑制効果』に着手する。 siRNA/脂質ナノ粒子を構成するカチオン性脂質として、これまでDOTAPを用いて研究を進めてきたが、最近の予備実験の結果において、DOTAP以外のカチオン性脂質を用いることでsiRNA/脂質ナノ粒子による遺伝子発現抑制効果をさらに高められる可能性を見出しており、カチオン性脂質の種類についても今後最適化していく予定である。 当初の予定では次年度が当該研究期間の最終年度となっているが、本年度中に当該研究を実施する十分な時間を得られなかったため、次年度における進捗状況によっては当該研究期間を延長することも考えている。
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Causes of Carryover |
本年度に当該研究とは別件のプロジェクトで長期間に渡り海外へ研究留学していたため、次年度に持ち越す方が適当と判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬や細胞培養品など研究用の物品費に当てる。
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Research Products
(2 results)