2015 Fiscal Year Research-status Report
ロタウイルスサーベイランスを目指したグライコタイピング法の開発
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26860030
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
山田 佳太 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (80584185)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ロタウイルス / ハイマンノース型糖鎖 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年の検討で、ロタウイルス認識糖鎖を解析することで、ウイルス株の識別が可能であることを見出した。本年度は、ウイルス株の種類の違いがウイルス表面糖鎖プロファイルに与える影響を評価するため、ヒトロタウイルスMO株、HAL1166株並びにサルロタウイルスRRV株の3種類のロタウイルス表面糖鎖の構造を解析した。 MA104細胞を用いて前述の3種類のロタウイルスを増殖させた。初期の検討では、培養上清中のロタウイルスを精製操作なしに解析したが、MA104細胞に由来する糖タンパク質成分が培養上清に混入していたため、解析結果を複雑にし、ウイルス株間の糖鎖プロファイルの比較が困難であった。そこで、培養上清からロタウイルスの単離法について検討した。種々の方法を検討した結果、塩化セシウムを用いた密度勾配遠心法によって、ウイルス粒子の精製に成功した。精製したウイルス粒子をN-グリカナーゼで消化し、遊離したN-結合型糖鎖を蛍光標識後、順相HPLCと質量分析法を用いて解析した。順相HPLCの解析では、3種類のウイルス株ではいずれもハイマンノース型糖鎖に由来すると考えられるピークが明瞭に観察され、共通の糖鎖プロファイルを持つことが明になった。一方マイナー成分については、3種類のウイルス間でのプロファイルが異なっていた。マイナー成分の糖鎖構造の同定には至っていないが、来年度で詳細な構造解析を達成し、ウイルス株の違いによる糖鎖プロファイルの差を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロタウイルス粒子の精製とウイルスタンパク質の単離に時間を要したため、ウイルス表面糖鎖の詳細な構造解析には至らなかった。しかしながら、単離方法の確立を達成したため、今後はスムーズに検討を進めることが可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ウイルス表面糖鎖の構造解析を進め、ウイルス株の違いによる糖鎖プロファイルの変化を解析する。また、現在ウイルスの培養には宿主細胞として、MA104細胞を使用しているが、Caco-2細胞や、HepG2細胞で培養したウイルス株についても解析し、宿主細胞の違いがウイルス表面糖鎖プロファイルに与える影響を評価したい。また、これらの検討と共に、ウイルス認識糖鎖とウイルス表面糖鎖の構造情報を同時に取得できる、糖鎖アレイとレクチンアレイを組み合わせたハイブリットアレイを開発する予定行である。
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Causes of Carryover |
本年度計画していた糖鎖構造解析が年度末までに完了しなかったため、糖鎖解析を進めるにあたり必要となる消耗品の購入を行うことができなかった。これにより、71618円の未使用金額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の前半では、本年度に完了していない糖鎖解析を進めるため、それに伴い本年度未使用分の71618円を使用する予定である。また、次年度給付される新たな研究費は、ハイブリットアレイ作成検討用費用や、別の宿主細胞で増殖させたウイルス粒子の糖鎖解析に必要となる物品で使用する予定である。
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