2014 Fiscal Year Research-status Report
TRB1によるTGFβシグナル制御を介した発がん機構の解明
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26860042
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 友香 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40454326)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / TGFβ / TRB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
TRBファミリータンパク質は高度に保存されたserine/threonine kinase様ドメインを持っているがkinase活性を持たないpseudokinaseであり、他のタンパク質と結合することでシグナル伝達など様々な細胞内機能を調節していると考えられている。TRB1は、精巣癌や白血病などの病勢に関与していることが報告されているが、がんに対する機能について十分には解明されていない。一方、TGFβは細胞増殖や分化、アポトーシス、免疫応答など多彩な細胞応答に関与するサイトカインであり、上皮細胞に対して強い増殖抑制作用を示すこと、がん転移に対しては促進的にはたらくことなど二面性をもっていることが知られている。 本年度の研究において、(1)ヒト肝癌由来細胞株HepG2でのTGFβ応答に対するTRB1の影響について検討したところ、一過性にTRB1を発現させるとTGFβのシグナル伝達分子Smadの活性化は抑制され、TRB1をノックダウンするとその活性は促進すること、(2)TRB1はTGFβの標的遺伝子のひとつであるPAI-1プロモーターの活性についてSmadの活性化と同様に作用し、Smad複合体形成やSmadの転写活性化能には影響しないこと、を明らかにした。また、TRB1の発現安定株およびノックダウン安定株を作製しTGFβ標的遺伝子の発現制御についてさらに解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)TRB1によるSmadの活性制御、(2)TRB1によるTGFβ標的遺伝子の転写制御については、計画通りに進めることができている。また、本年度十分に検討できなかった(3) TRB1とSmadの結合領域の同定については引き続き検討していく予定であり、全体として計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、(1)MAPKの恒常的活性化状態におけるTRB1の発現制御および(2)TRB1とSmadの結合を阻害できる分子をスクリーニングできる系の確立を行う。また、新たに作製した細胞株を用いてTRB1によるTGFβ標的遺伝子の転写制御についてより詳細に解析を進める予定である。
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