2016 Fiscal Year Annual Research Report
The physiological role of FGF21 in thymic CD8 T cell development
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26860048
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
増田 有紀 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (40421284)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | FGF21 / 胸腺 / 胸腺上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
FGF21は、主に肝臓で産生され、糖・脂質代謝を調節すると考えられている。近年、FGF21が胸腺上皮細胞(TEC)の機能を改善することで、胸腺老化を抑制することが報告された(Youm YH et al., 2016)。本研究では、若年期の胸腺におけるFGF21の生理的役割について解明することを目的とした。 FGF21は胸腺において、成熟胸腺髄質上皮細胞で主に産生されることを確認した。4週齢のFGF21ノックアウト(KO)マウスの胸腺では、野生型(WT)マウスと比較して、CD4-CD8+(CD8 SP)が有意に減少し、1週齢ではCD8 SPとCD4+CD8- (CD4 SP)の両方が有意に減少していた。TCRβとCD69の発現パターンより、T細胞の分化を5段階に分けて評価したところ、1週齢のFGF21 KOマウス胸腺では、5段階目の最も成熟した集団が有意に減少していた。 FGF21受容体であるFgfr1とβKlothoの胸腺内での発現を調べたところ、T細胞における発現は低く、TECを含む間質細胞で高く発現していた。しかし、FGF21 KOマウスのTEC、及びその他の間質細胞にWTマウスとの違いはなかった。一方で、βKlotho KOマウスでは、FGF21 KOマウス胸腺のような成熟T細胞の減少が見られなかったことから、FGF21はβKlothoを介さずにT細胞の分化を促進することが示された。 FGF21 KOマウス胎児胸腺器官培養を行うと、WTマウスと比較して成熟T細胞への分化が有意に減少したが、FGF21タンパクの添加によってこの減少が改善された。また、FGF21タンパクの添加により、胸腺内の正・負の選択の段階の未熟T細胞のアポトーシスが増加した。 以上より、FGF21は胎児期や若年期の胸腺において、βKlotho非依存的にT細胞の分化を促進することが明らかになった。
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