2015 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制性sPLA2の機能に関する基盤構築とその創薬に向けた展開
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26860051
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
三木 寿美 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (00632499)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホスホリパーゼ / 脂質 / マクロファージ / 樹状細胞 / 抗炎症 / DHA / 皮膚疾患 / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々な疾患に対するsPLA2-IIDの欠損または過剰発現の効果を検証し、本酵素による免疫抑制の普遍性およびその欠損による癌免疫賦活化のメカニズムを解明することで、免疫抑制・癌免疫賦活化を指標とした新規治療戦略を模索することを目的とした。本年度は、皮膚化学発癌モデルを用いたsPLA2-IIDによる癌免疫制御機構の解析を中心に研究を実施し、これまでに解析を進めていた本酵素の遺伝子欠損(KO)マウスに加えて全身性遺伝子過剰発現(TG)マウスの表現型解析を行った。その結果、(1)腫瘍形成早期のKOマウスでは、野生型マウスと比較して皮膚の炎症が減弱し、腫瘍形成促進に働くM2マクロファージが減少し、抗腫瘍に働く細胞障害性T細胞が増加することを見い出した。また、(2)KOマウスのM2マクロファージの減少は定常状態からみられる変化であり、(3)各皮膚炎症疾患モデルや皮膚癌モデルを適用したTGマウスはKOマウスでみられた表現型と逆の結果を示すことが分かった。さらに、(4)sPLA2-IIDによって産生されるω3脂肪酸およびその代謝物は、樹状細胞やリンパ節細胞の炎症性サイトカインレベルを直接抑制することが明らかとなった。これらの結果から、sPLA2-IIDは主な発現組織であるリンパ組織のω3脂肪酸バランスを構成的に調節することで、炎症免疫や抗腫瘍免疫を抑制し、病態の発症や進展を制御するものと結論した。
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[Journal Article] The role of group IIF-secreted phospholipase A2 in epidermal homeostasis and hyperplasia2015
Author(s)
Yamamoto K, Miki Y, Sato M, Taketomi Y, Nishito Y, Taya C, Muramatsu K, Ikeda K, Nakanishi H, Taguchi R, Kambe N, Kabashima K, Lambeau G, Gelb MH, and Murakami M.
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Journal Title
J. Exp. Med.
Volume: 212
Pages: 1901-1919
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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