2014 Fiscal Year Research-status Report
カルシウム活性化カリウムチャネル新規バリアント体のユニークな性質と疾患との関連
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26860059
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 良明 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80707555)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カルシウム活性化カリウムチャネル / 軟骨細胞 / スプライスバリアント / 1分子イメージング / 変形性関節症 / パッチクランプ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
BKαΔe2の生理的意義を分子レベルで解明し、生体内における発現分布・機能を明確にするため、以下の実験を行った。 ①BKαΔe2による野生型BKα(BKαWT)の機能に対する影響の解明:蛍光イメージング法によって、BKαWTとBKαΔe2が4量体を形成することが明らかになった。これにより、BKαΔe2がBKαWTの細胞膜への移行を抑制し、細胞膜上のBKチャネル発現量が減少することも明らかにした。電気生理学的手法による実験からも、BKαΔe2がBKαWTの機能を抑制することを明らかにした。ポア領域を欠損させたドミナントネガティブ型BKαを用いて、機能抑制の程度を詳細に解析したところ、BKαΔe2による抑制の程度はドミナントネガティブ体よりも弱かった。インサイドアウト法を用いた単一チャネル電流記録から、BKαWTとBKαΔe2から成るヘテロ4量体は細胞膜に移行することができるが、BKα4量体の細胞膜への移行のしやすさは4量体中のBKαΔe2の数と反比例することが明らかになった。 ②BKaΔe2からチャネル機能が消失した原因の解明:exon2に対して、欠損あるいはアラニン置換を導入して、パッチクランプ法とnon-permeabilized labeling法により、exon2のうち後半の10アミノ酸残基が細胞膜発現に必要であることが判明した。 ③発現組織/細胞の探索:ヒト及びマウス組織からRNAを抽出し、定量的PCR法によりmRNAの発現分布を調べたところ、気道や大動脈など軟骨以外の組織でも発現が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では交付申請書に記載した計画のほとんど全てを実施し、BKαΔe2の性質を明確にすることがができた。exon2の変異体について、現在のところ大まかな欠損体しか作製していないので、点変異を導入してピンポイントで原因領域を解明する必要がある。また、OUMS-27あるいは単離軟骨細胞に対して遺伝子導入による過剰発現・ノックダウンを行い、軟骨細胞における生理的意義を明らかにする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
①exon2の内、膜発現・機能発現に重要なアミノ酸配列に点変異を導入して、原因領域を解明する。 ②OUMS-27あるいは単離軟骨細胞に対して、遺伝子導入によるBKαΔe2の過剰発現及びノックダウンを行い、軟骨細胞におけるBKαΔe2の生理的意義(細胞内Ca2+濃度応答、細胞増殖、コラーゲン分泌)に対する影響を明らかにする。 ③OUMS-27を、擬似的に変形性関節症時の環境下(=低浸透圧下)で培養し、BKチャネルやストア作動性Ca2+チャネルなどのCa2+関連チャネルの発現変化を調べる。 ④名古屋市立大学病院と共同研究を締結し、ヒトの関節軟骨のサンプルの供与を受け、OUMS-27で得られた知見がヒトの軟骨組織でも得られるか明らかにする。
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Causes of Carryover |
生化学的実験で解明する予定であった課題を、イメージング技術を応用した他の手法で解明することができた。そのため、生化学的実験で購入する予定だった試薬を購入する必要がなくなり、次年度使用額が生じた。また、動物から単離した細胞や正常ヒト軟骨細胞を使用した実験を予定していたが、次年度に実施することとなったため、これらに関する経費も次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ラットなどの動物から正常の軟骨細胞を単離する、あるいは正常ヒト軟骨細胞を購入・維持するための消耗品費として使用する。
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