2015 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム活性化カリウムチャネル新規バリアント体のユニークな性質と疾患との関連
Project/Area Number |
26860059
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 良明 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80707555)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬理学 / 薬学 / カルシウムシグナリング / イオンチャネル / イメージング / 軟骨細胞 / 関節症 / シグナルドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
①ヒト軟骨細胞モデルOUMS-27から、Ca2+活性化K+(KCa)チャネルの一種である大コンダクタンスCa2+活性化K+(BK)チャネルのポアサブユニット(BKα)の新規バリアント体(BKαΔe2: AB524033.1)を同定し、その機能解析と軟骨細胞機能に対する影響を明らかにした(論文投稿中)。これまでに、Δe2は単独では細胞膜へ移行せず、かつ野生型BKαと四量体を形成してチャネル機能を抑制することを明らかにした。また、OUMS-27にsiRNA(siBKαΔe2)を処置すると、チャネル活性が増大し、His刺激後のシクロオキシゲナーゼ(COX)2産生が増大することを明らかにした。 ②炎症時に関節内のマスト細胞から分泌されたヒスタミン(His)は、軟骨細胞を刺激して細胞内Ca2+シグナルを介した細胞増殖や基質合成を引き起こす。当研究室ではこれまでにOUMS-27を用いて、(1)Hisによる細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)上昇が起こる、(2)細胞膜上のKCaチャネルが活性化され細胞膜電位が過分極する、(3)膜過分極が持続的な[Ca2+]i上昇を引き起こす、という正帰還機構を明らかにしてきた。当該研究期間において、この持続的な[Ca2+]i上昇は、Ca2+遊離活性化Ca2+(CRAC)チャネルを介したストア作動性Ca2+流入(SOCE)であることを明らかにした(Inayama, Suzuki et al., Cell Callcium, 2015)。興味深いことにOUMS-27では、Orai1、STIM1に加えてOrai2が豊富に発現していた。全反射蛍光顕微鏡による一分子可視化から、Orai2はOrai1とヘテロ四量体を形成することで、SOCEを起こすことを世界で初めて示した。本研究により、軟骨細胞におけるHis誘発性[Ca2+]i上昇機構の1つとして、Orai1、Orai2、STIM1を介したSOCEが寄与することが明らかとなった。
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