2015 Fiscal Year Research-status Report
タイトジャンクションを標的としたアスピリン起因性小腸粘膜傷害の予防・治療薬の開発
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26860060
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
福居 顕文 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60725307)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アスピリン / 小腸粘膜傷害 / タイトジャンクション / 酸化ストレス / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
低用量アスピリンは、脳・心血管イベントに対する二次予防が確認され、世界中で広く使用される薬剤である。しかし、アスピリンは胃だけでなく、小腸粘膜傷害を引き起こすことが明らかになり、時に重大な消化管出血から生命予後の悪化に至ることがある。その機序解明ならびに予防薬の確立は急務である。申請者は、これまでにアスピリン起因性小腸粘膜傷害の初段階とされる上皮細胞の透過性亢進のメカニズムを明らかにし、その過程に関与する上皮細胞間タイトジャンクション構成蛋白質をZO-1蛋白質と同定した。また、低濃度アスピリンが、小腸上皮細胞内のミトコンドリア障害からスーパーオキサイド産生亢進を引き起こすことを見いだしている。本研究は、酸化ストレスにより修飾されたそれら蛋白質を標的としたアスピリン起因性小腸粘膜傷害予防・治療薬の開発を目指すべく立案した。 平成27年度は、アスピリン刺激後の上皮細胞間透過性亢進をより詳細に検討すべく、ヒト大腸上皮癌培養細胞株Caco-2 を分化させ、小腸上皮細胞モデルとし、Cell Z scopeを用いて経時的なTEER測定ならびにFD4で透過性を評価した。また、western blotting法ならびに蛍光免疫染色法を用いてタイトジャンクション構成蛋白質の経時的変化を評価した。さらに、抗酸化作用を有する薬剤を用いてその抑制効果について評価した。 その結果、アスピリンは時間依存性に小腸上皮細胞間の透過性亢進を引き起こすこと、ZO-1蛋白質のみ発現低下を引き起こすこと、また、抗酸化剤を用いると前述の透過性亢進を抑制することが可能となること、さらに、ZO-1の発現低下を抑制することが可能となることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1)アスピリンにより小腸上皮細胞の透過性がミトコンドリア機能依存性に亢進すること2)アスピリンにより酸化ストレス依存性にタイトジャンクション構成蛋白質の酸化修飾が起こり、最終的な構造変化が起こること3)タイトジャンクションの酸化修飾を標的とした薬剤スクリーニングにより、アスピリン起因性小腸粘膜傷害に対する新規予防・治療薬を確立することを目的としている。 平成26年、27年度は、アスピリンが小腸上皮細胞内のミトコンドリア機能障害を引き起こすこと、それに伴いスーパーオキサイドをはじめとする酸化ストレス産生亢進を引き起こすこと、また、酸化ストレス依存性に小腸上皮細胞透過性亢進を引き起こすこと、その過程にZO-1蛋白質が関与していることを明らかにした。また抗酸化作用を有する薬剤を用いて、その透過性亢進抑制作用を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
低濃度アスピリン起因性上皮細胞内酸化ストレス産生と上皮細胞透過性亢進の関連を解明し、それらを標的にした予防・治療薬の探索をおこなう。 平成27年の検討を続行することにより、アスピリンによる酸化ストレス亢進をひき起こす活性酸素種の攻撃対象となるタイトジャンクションの構成蛋白質を同定する。また、活性酸素種を消去するような既存の胃粘膜保護薬(レバミピド、イルソグラジン、ポラプレジンクなど)を用い、それぞれの薬剤の上皮細胞間透過性亢進の抑制効果を検証する。 我々はin vivoの評価系としてこれまで唯一齧歯類で作製が報告されている(J Gastroenterol Hepatol.2010.)アスピリン小腸粘膜傷害ラットモデルの作製に成功しており、小腸粘膜透過性をin vivoで評価する。 本研究で得られた知見から、将来的な臨床使用可能な候補薬剤を決定することが可能であると考える。
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Causes of Carryover |
研究に必要な試薬、物品はおおむね予定通り使用したが、年度末の細胞実験でコンタミが生じたため、Caco-2細胞の培養過程において多少の遅れが生じた。 それに伴い、小腸上皮細胞間におけるタイトジャンクション構成蛋白質をwestern blottingならびに蛍光免疫染色法で評価するための抗体試薬購入に遅れが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな細胞購入を行い、現在順調に再開できている。今後の研究推進方策に従い、アスピリン起因性酸化ストレス産生がタイトジャンクション構成蛋白質、特にZO-1蛋白質を酸化修飾していることの証明ならびに動物モデルを作成し、その透過性亢進の機序解明を行っていく。
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Research Products
(1 results)