2015 Fiscal Year Annual Research Report
複合的スクリーニングによるミトコンドリア品質管理の機能と制御構造の解明
Project/Area Number |
26860063
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北見 俊守 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (70708594)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / スクリーニング / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアの機能低下は多種の疾患(2型糖尿病、パーキンソン病、心血管疾患)の原因に繋がっている。ミトコンドリアの機能を上げる方法の1つにミトコンドリアの品質管理を活性化させるメカニズムがある。しかし、ミトコンドリア品質管理には合計約30以上の遺伝子が関わり、それらがミトコンドリア機能にどのような影響を与えるか、またそれぞれがどう制御されているか明確ではない。ミトコンドリアと疾患の関係を研究するにあたって多種の細胞が候補に挙げられるが、ミトコンドリア品質管理機能が低下すると自然免疫細胞であるマクロファージなどで炎症反応(NLRP3インフラマソーム活性化)が起こりやすくなり、心血管疾患やインスリン抵抗性など多種の疾患を引き起こしやすくなると報告されている。我々はこのマクロファージ細胞を用い、現在確認されているミトコンドリア品質管理に関わる遺伝子など約90個を中心に遺伝子強制発現、またCRIPSR/Cas9による遺伝子ノックアウト細胞を作成し、ミトコンドリア機能と炎症反応への影響を測定した。遺伝子強制発現では、ミトコンドリア品質管理遺伝子の転写制御に関わるCHOPは炎症性サイトカインの分泌を約30%下げた。しかし、CHOPはミトコンドリア以外にも小胞体ストレス応答に関わっていることから、ミトコンドリア特異的な影響による炎症反応の抑制とは結論づけられなかった。遺伝子ノックアウトでは、複数の遺伝子で生存が保たれず、生存に影響を及ぼさない遺伝子においては、炎症反応への影響が確認されなかった。遺伝子数に限られず、網羅的にミトコンドリア機能に影響を及ぼす遺伝子探索のため、全ゲノムノックアウトスクリーニングを行った。このスクリーニングにより得られる結果は、より新たなミトコンドリア品質管理に関わる遺伝子の発見に繋がると期待される。
|
Research Products
(1 results)