2014 Fiscal Year Research-status Report
天然物からの活性化マクロファージ特異的に作用する制御物質の探索と作用機構の解明
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26860072
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
小池 敦資 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (00625725)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マクロファージ / 天然化合物 / LPS / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、活性化マクロファージによる炎症応答を特異的に制御する天然化合物を探索し、その作用機構を明らかにする。さらに、本研究を通じて、炎症治療の新たな標的分子を明らかにすることを目的としている。初年度の研究実施計画としては①候補化合物の探索、②先行研究で発見した候補化合物の作用機構の解析を計画していた。以下にその結果の概要を記す。 ① 候補化合物の探索:候補化合物の効率的な探索を目的に新たな評価系の構築を検討した。その結果、従来は細胞障害を指標としたLDHアッセイで検討を行っていたが、より短時間で評価を行うべく、測定条件の検討やMTTアッセイを始めとする生細胞を検出する方法などを検討し、従来と比べより簡便で短時間に評価できる系を確立しつつある。次に候補化合物の探索は、免疫系に作用すると言われている10種類の漢方製剤や生薬成分、先行研究で発見した候補化合物の類似構造を持つ化合物を用いて検討を行った。その結果、微生物由来の天然化合物から新たに1種同定することができた。 ② 先行研究で発見した候補化合物の作用機構の解析:細胞死の解析を行った結果、同定した化合物とマクロファージの強力な活性化物質であるLPSを併用した場合に誘導される細胞死は、TUNEL陽性を示し、実行型カスパーゼの活性化を伴っていることが明らかとなった。これらの結果から、本細胞死はアポトーシスを介していることが示唆された。次に候補化合物の標的因子の同定を試みたが、現在までに同定には至っていない。しかし、LPS処理30分以降に候補化合物を処理しても細胞障害は誘導されないことから、LPSシグナルの上流に作用していることが示唆されたので、現在は標的を絞って検討を行っている。 以上の研究より、新たな候補化合物の同定に成功し、ハイスループット型の探索法も確立しつつあることから、非常に意義深い成果が得られていると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HTP型のスクリーニング方法については、細胞障害性や生細胞を指標とした評価方法を検討した結果、より短時間で定量できる評価系を確立しつつある。また、本法を用い、新たに候補化合物の同定に成功している。 次に、先行研究で得られた候補化合物の標的の同定を行っているが、当初ケミカルプルダウンを用いた標的の同定を予定していたが、化合物自身が不安定なため、磁気ビーズに候補化合物を結合することが困難であると予想されたため、現在は薬理学的手法を用いた標的の同定を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
HTP型のスクリーニングの系については確立しつつあるため、本法を用いて順次、新たな化合物の同定を行っていく。また、先行研究で得られた候補化合物については、薬理学的手法を駆使して標的を同定すると同時に類似構造を有した化合物を用いて、再度ケミカルプルダウンを検討するなど、多方面からの標的の同定を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験が、化合物の安定性の理由から行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、類似構造を有する化合物で同様の実験を行う予定にしており、次年度使用額は本実験で使用する予定である。
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