2014 Fiscal Year Research-status Report
オピオイドκ受容体リガンドにおける側鎖の最適配向の明確化とその応用
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26860076
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 直司 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (80580216)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オピオイド / モルヒナン |
Outline of Annual Research Achievements |
オピオイドkappa受容体選択的アゴニストに必要な側鎖の配向とその長さを探るため、ビシクロ[2.2.2]オクタン構造を有するモルヒナン誘導体の合成を試みた。しかし、この骨格を有する誘導体はほとんど報告されていないため、はじめにその骨格の構築について検討を行った。まず、ナルトレキソン塩酸塩から7段階を経て、モルヒナン骨格を有するメチルエノールエーテル体を合成した。4,5-エポキシモルヒナン骨格を有する場合には6,7-オレフィンが選択的に生成するが、4,5-エーテル結合を除去したモルヒナン骨格の場合では5,6-オレフィンと6,7-オレフィンが約1:9の比で得られた。次に、6,7-オレフィン体からジエンを合成するため、ピリジン中で塩化チオニルを作用させて14位ヒドロキシ基の脱水を試みたところ、この条件では脱水反応が進行せず、14位と7位がスルフィン酸エステルで架橋された新規骨格を有するエノールエーテル体が生成した。したがって、モルヒナン骨格を有するエノールエーテル体からジエン体を合成するためには、窒素の非共有電子対の押し出しによる転位反応を抑制しつつ、14位ヒドロキシ基を脱水する条件を検討する必要があることが明らかになった。 また、ビシクロ[2.2.2]オクタン構造を有する新規4,5-エポキシモルヒナン誘導体の合成を目指し、ジエン体とビニルスルホンアミドとのDiels-Alder反応について検討を行った。その結果、この反応はトルエンを溶媒として用い、封管中で140度に加熱した場合には全く進行しないものの、180度まで加熱すると環化付加体が得られることを明らかにした。さらにプロペラン型五環性骨格を有する誘導体の合成についても行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ビシクロ[2.2.2]オクタン構造を有するモルヒナン骨格の構築方法を確立するため、類似骨格の既知反応を参考に合成を試みた。しかし、14位ヒドロキシ基の脱水反応において予期せぬ反応が起き、目的物であるジエン体ではなくスルフィン酸エステル構造を有する化合物が得られた。したがって、14位と7位がスルフィン酸エステルで架橋されている新規骨格を得たという成果はあげられたものの、Diels-Alder反応によるビシクロ[2.2.2]オクタン骨格の構築には至っていないため、当初の計画よりやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ビシクロ[2.2.2]オクタン構造を有するモルヒナン骨格の構築方法の検討を引続き行う。具体的には、エノールエーテル体の14位ヒドロキシ基の脱水により、収率よくジエン体が得られる条件を検討する。また、これまでの研究過程で新規骨格が得られているので、その安定性等を調べる。さらに、類似試薬を用いた場合に同様の反応が起こるのかどうかを検証し、新規骨格の創出を試みる。また、既知の骨格であるビシクロ[2.2.2]オクタン構造を有する4,5-エポキシモルヒナン骨格やプロペラン型五環性骨格を用いた誘導体合成を行い、オピオイドkappa受容体選択的アゴニストに必要な側鎖の配向とその長さを探る予定である。
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Causes of Carryover |
重要中間体を合成する過程で予期せぬ反応が起き、当初の実験計画より遅れが生じているため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については試薬や溶媒等の消耗品の購入にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)