2015 Fiscal Year Research-status Report
大規模分子系1電子軌道計算法を活用したインシリコ医薬分子設計の理論と技術開発
Project/Area Number |
26860084
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大塚 教雄 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (30465968)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インシリコ創薬 / 分子間相互作用 / 1電子軌道 / フラグメント分子軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分子設計技術の礎となるFMO-LCMO法を実際のタンパク質-タンパク質機能制御分子複合体系に適用し、エネルギー解析のみで進められてきた分子間相互作用に対して分子軌道解析の概念を導入する事を目的とする。具体的には、タンパク質と数種の制御分子の複合体に対して、大規模分子複合体系の分子軌道構成やその要素解析を行う。まず最初に取り扱うタンパク質-タンパク質機能制御分子複合系として、実験、MD計算、QM/MM計算から結合親和エネルギーが算出されているFKBP (FK506- binding protein)とその機能制御系を用いる。具体的な手順として以下を実行する:①我々による修正を施したフラグメント分子軌道(FMO)法計算を実行し、②我々が開発した大規模分子系1電子軌道計算(FMO-LCMO)法を用いて1電子軌道と軌道エネルギーを算出する。得られた計算データから、③1電子軌道の構成要素の解析を行う。④有意なデータより理論の構築や分子設計指針を検討する。 平成27年度では、前年度に作成整備したプログラムを活用し、実用上、必要最低限の精度を持つ計算条件にて手順①から手順③をテスト系に対して実行した。この計算条件では、対象とするリガンド分子が大きい場合、FMO計算とFMO-LCMO計算において必要なデータ取扱量と蓄積量が非常に大きく計算コスト上の問題となった。 この問題解決のため、FMO計算上での計算コストを下げ、精度を維持する新規手法を開発整備した。この新規計算法後のFMO-LCMO計算も対応できるよう理論の整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、FKBPとその機能制御系に対していくつかの異なる計算条件と環境効果に関するデータの蓄積と解析を行う予定であった。 しかしながら、実用上、必要最低限の精度を持つ計算条件におけるFMO計算とFMO-LCMO計算は非常に大きな計算コストがかかる事が分かり、その問題点を明らかにする事に注力した。この問題解決策として、FMO計算上での計算コストを下げ精度を維持する新規手法を開発整備した。この新規手法は、FMO-LCMO計算でも適用可能とするために双方の理論体系の整合性が取れるよう構築したため数値実証に時間がかかった。またこの新規手法後のFMO-LCMO法の再整備が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、FMO計算の新規手法に対応したFMO-LCMO計算の再整備を早急に完了させ、当初予定のFKBPと機能制御分子系に対して、いくつかの異なる計算条件と環境効果に関するデータの蓄積と解析を行い、計算による分子設計への指針をまとめる。
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Causes of Carryover |
適切に使用したが千円単位の残額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を充実させ、適切な研究会や会議等で発表参加する予定である。
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