2015 Fiscal Year Research-status Report
味蕾におけるATPクリアランス機構に着目した抗がん剤による味覚障害発症機構の解明
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26860090
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西田 健太朗 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (20533805)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 味覚障害 / 抗がん剤 / 味細胞 / 味受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は白金系抗がん剤の一つであるオキサリプラチンによる味覚機能への影響について検討を行った。それ以外の抗がん剤についても味覚異常は報告されている。多発性骨髄腫の治療薬であるボルテゾミブは味覚異常を生じることが報告されているが、その味覚感受性に与える影響や発症機序などの詳細は不明である。そこで、ボルテゾミブ投与マウスの味覚感受性への影響について行動学的に評価し、さらにマウス有郭乳頭における味蕾の形態及び味受容体のmRNA発現プロファイルについて検討した。C57BL/6N雄性マウスにボルテゾミブ (1 mg/kg, twice/week, 4 weeks, s.c.) を投与し、味覚感受性の変化を五基本味の味溶液を用いたbrief-access試験によりマウスが舐めた回数 (lick数) にて評価した。また味蕾の形態はHE染色により、味受容体のmRNAレベルでの発現量はreal-time PCR法により解析した。ボルテゾミブ投与マウスにおいて、投与後9日目以降に酸味及びうま味溶液に対するlick数は有意に減少した。投与後26日目に酸味溶液に対するIC50値はcontrol群に比べて有意に減少した。一方、その他の味溶液に対するlick数は変化しなかった。ボルテゾミブ投与マウスの有郭乳頭において、味蕾の形態及び酸味受容体のmRNAレベルでの発現量の変化はなかった。ボルテゾミブ投与マウスにおいて酸味感受性が増大し、それは味蕾の形態や酸味受容体の発現の変化ではなく、味覚情報伝達分子などの変動に起因するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗がん剤の種類により、味覚異常の特性が異なることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでとは異なる作用機序の抗がん剤での影響について検討をさらに進める。加えて、味覚受容体の発現レベルに対する各種抗がん剤の影響を強制発現系などを用いて検討する予定である。
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