2014 Fiscal Year Research-status Report
プラチナ製剤の時間薬物療法の有用性と機序解明:DNA修復因子とDNA中プラチナ量
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26860097
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岡崎 史泰 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (20610348)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 時間薬理 |
Outline of Annual Research Achievements |
時間薬物療法とは、概日リズムを利用した薬物療法である。概日リズムは、バクテリア植物、動物を含む様々な生物に存在する約24時間を周期とした生理現象である。この概日リズムを制御しているのが、時計遺伝子と呼ばれる一連の遺伝子群によって構成されるフィードバックループ機構とされている。時計遺伝子は、主に転写促進因子または転写抑制因子として機能し、その発現は約24時間周期の変動を示す。 現在、シスプラチンおよびオキサリプラチンを代表とするプラチナ製剤に対し、時間薬物療法の研究が行われている。これらの研究により「プラチナ製剤の抗腫瘍効果および副作用に対し時間薬物療法が有用である」と確認されているが、薬物動態学的側面に差が無く、また薬力学的側面からも明らかとなっていない。本研究では、プラチナ製剤に対する感受性に影響を及ぼすと考えられているSSRP1 (structure-specific recognition protein) およびDNA-PK、RPA2に着目し、シスプラチンの抗腫瘍効果に及ぼす投薬時刻の影響について検討を行う。また。薬物動態学的側面について今まで検討されてきた組織中プラチナ量を測定せず、プラチナ製剤の作用部位であるDNA中プラチナ量を測定する。プラチナ製剤に対する時間薬物療法について薬物動態学的側面および薬力学的側面からメカニズムを解明する。 平成26年度は、抗腫瘍効果に及ぼす投薬時刻の影響とそのメカニズムについて薬物動態学的側面から検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実験計画として、投薬時刻の違いによる抗腫瘍効果の検討を行った。暗期中期から抗腫瘍効果が増大し、明期中期に抗腫瘍効果が減少することが確認された。抗腫瘍効果に対する投薬時刻の影響について薬物動態額的側面から検討した結果、血清中Pt量および腫瘍DNA中Pt量に有意な差は確認されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、シスプラチンの抗腫瘍効果に及ぼす投薬時刻の影響について、プラチナ製剤に対する感受性に影響を及ぼすと考えられているSSRP1 (structure-specific recognition protein) およびDNA-PK、RPA2に着目し、腫瘍組織中発現量の概日リズムと抗腫瘍効果に及ぼす投薬時刻の影響について検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度の実験計画として、投薬時刻の違いによる抗腫瘍効果の検討及び抗腫瘍効果に対する投薬時刻の影響について、当初の計画通り実験が完了した。平成26年度の残り予算は7,357円であり、十分な試薬を購入できない可能性があった。一方、平成27年度からは、薬力学的側面から検討を行うことを検討しているため、試薬および遺伝子解析に必要なPrimerをが多く購入する必要があるため、平成26年度の残り予算を平成27年度に使用することを決めた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究計画では、薬力学的側面から検討を行うことを検討している。平成26年度の残り予算分で遺伝子解析に必要なPrimerを購入する予定である。
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