2015 Fiscal Year Annual Research Report
薬の副作用発症に関わるオーファン加水分解酵素の機能解析
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26860098
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深見 達基 金沢大学, 薬学系, 准教授 (00532300)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 加水分解酵素 / 薬物毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品は生体内で代謝反応を受け毒性を発揮する代謝物へ変換されることがある。真菌症治療薬ケトコナゾールは肝障害や副腎障害を理由としてアメリカ食品医薬品局や欧州医薬品庁では近年経口薬としての使用を避けるよう勧告され、その肝障害には加水分解反応の関与が提唱されていた。しかし、本反応を触媒する酵素が不明であったため、毒性発現メカニズムは不明なままであった。本年度はケトコナゾールの加水分解酵素の解明およびその毒性発現への寄与について解析を行った。ケトコナゾール加水分解酵素活性はヒト肝臓ミクロソーム画分で認められ、サイトゾル画分では認められなかった。加水分解酵素発現系を用いて解析した結果、カルボキシルエステラーゼ(CES)1およびCES2では全く酵素活性が認められなかったものの、アリルアセタミドデアセチラーゼ(AADAC)において活性が認められた。これは、AADACが肝臓小胞体に局在することに矛盾しない。さらに、ヒト肝臓ミクロソームにおけるケトコナゾール加水分解酵素活性に対する阻害実験や個人ヒト肝臓ミクロソーム検体を用いたAADAC指標活性との相関実験においてもAADACの関与を支持する結果が得られた。以上より、ケトコナゾールの加水分解はAADACにより触媒されることが示された。AADACがケトコナゾール毒性発現に与える影響をヒト肝癌細胞HepaRG細胞を用いて検討した。HepaRG細胞にケトコナゾールもしくは加水分解代謝物であるデアセチルケトコナゾールを処置した結果、デアセチルケトコナゾールで細胞死が認められたものの、ケトコナゾールでは認められなかった。HepaRG細胞ではAADACの発現量がとても低かったためアデノウイルスを用いてAADACを過剰発現させたところ、ケトコナゾールによる細胞死が認められた。以上より、ケトコナゾール毒性発現にAADACが関与することが示された。
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Research Products
(1 results)