2014 Fiscal Year Research-status Report
薬剤性腎障害の重篤化阻止に向けた腎臓内在性炎症抑制システムの役割解明
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26860101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 俊作 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (50721916)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗炎症性サイトカイン / 腎線維化 / 間質性腎炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、腎障害の可逆性が成立する機序として死細胞からの障害シグナルによる炎症・線維化の惹起と、それに続く内在性炎症抑制システムによる炎症・線維化の沈静化を想定し、腎臓に内在する炎症抑制システムの分子実態を探索した。その結果、抗炎症作用を持つことが知られる、IL-10、IL-27、IL-35といったサイトカインがマウスシスプラチン腎症モデルの腎臓において発現することを明らかにした。また、シスプラチンによって不可逆な腎障害が生じるモデル動物作製に成功し、その腎組織中では前述した抗炎症性サイトカインとIL-6などの催炎症性サイトカインの発現バランスが崩壊していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に示した実験計画のうち、腎障害時において発現上昇する抗炎症性サイトカインの同定および不可逆的な病態を示す腎障害モデルの作製に成功した。一方、抗炎症性サイトカインの産生細胞同定には至っておらず、この点については今後の課題と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
腎臓の可逆性を制御する候補分子探索および薬剤性腎障害が不逆的に進行するモデル動物の作製を終えたため、今後は、腎臓の可逆性を司る細胞群の同定およびその制御による不可逆的な腎障害の治療法探索に着手する。
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Causes of Carryover |
初年度において達成できなかった抗炎症性サイトカイン産生細胞の同定およびその機能評価を次年度において行う予定であり、当初の計画よりも多くの経費を必要とするため。すでに、腎臓より白血球を分離し培養する実験系の構築には成功しているが、樹状細胞やマクロファージといった大きな分類ではサイトカイン産生細胞の特定に至らなかったため、さらに精密に細胞群を分離し、多様な細胞マーカーを用いた検討を行う必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
【物品費:計 330,881円】白血球の分離・培養に係る消耗品費(180,000円)及び、サイトカイン濃度測定に係る経費(150,881円)を計上する。
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[Presentation] 薬剤性腎障害発現機構2015
Author(s)
中川俊作
Organizer
日本臨床腫瘍薬学会学術大会2015
Place of Presentation
みやこめっせ(京都市勧業館)
Year and Date
2015-03-14 – 2015-03-15
Invited
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