2014 Fiscal Year Research-status Report
分子標的治療薬による皮膚障害発症メカニズムに基づく新規予防・治療法の探索
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26860104
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 和宏 神戸大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (30610349)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 手足皮膚反応 / 治療法 / マルチキナーゼ阻害薬 / 分子標的治療医薬 / 皮膚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的治療薬による皮膚障害は患者の60%以上に発症し、治療の中断やQOLを低下させる要因となっているため、臨床上重要な課題となっている。既に我々はSignal Transducer and Activator of Transcription (STAT)3が分子標的治療薬による皮膚障害の発症に大きく関与している可能性について報告している。本研究では、皮膚障害の治療メカニズムとしてSTAT3の活性変動に着目し、in vitroで候補化合物の探索を行うとともに、患者に適応することで有用性を確立することを目的とした。 STAT3活性化スクリーニングを実施し、IN Cell Analyzerによるイメージングサイトメトリー法によりSTAT3の活性を維持する化合物を評価した。抗酸化物質や各種ビタミンから5種類の候補化合物を選出した。さらに、候補化合物を用いて皮膚角化細胞に対する細胞増殖アッセイを行い、マルチキナーゼ阻害薬による増殖抑制作用を減弱させる3つ(プロスタグランジンE1、ビタミンC誘導体、ビタミンB1)の化合物を最終候補化合物とした。 その内、2種の候補化合物について、アポトーシスおよび関連因子の評価を行った。分子標的治療薬による皮膚障害において認められるSTAT3の活性低下に伴う各種アポトーシス関連因子の変動は、選出した2種の化合物(プロスタグランジンE1、ビタミンC誘導体)の共存により回復することが示された。また、そのメカニズムがSTAT3に寄与している可能性についても見出している。 今後はさらなる詳細な基礎的検討を実施し、有効性のデータを蓄積すると同時に、これらの候補化合物を製剤化し、臨床試験により有効性を評価していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究実施計画に列挙したSTAT3活性化スクリーニング、候補化合物による生存試験およびアポトーシスの評価は概ね完了した。候補化合物のうちの一部は現在解析中であるが、計画項目の多くを実施できているため、順調に進展していると判断可能である。遺伝子導入法を用いた治療メカニズムの裏付けを実施する必要があるが、タンパク発現制御モデルの確立から評価まで、次年度の課題とする。 ヒトを対象とした臨床研究については、倫理委員会の書類申請を進める必要があり、準備も含めて次年度の項目である。また、皮膚3次元モデルを用いた評価においては予備検討を進めており、被験物質の処置から、細胞増殖アッセイ、パラフィン包埋、免疫染色等の評価法を既に確立している。 これらの全体の進捗を評価して概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚3次元モデルを用いた評価については既に細胞増殖アッセイと組織免疫染色の最適化した評価系を確立しているため、それに基づいて検討を実施する。さらに、分泌タンパクの定量や経皮吸収量の測定等も適宜評価系を確立し、取り組んで行きたい。これらの評価系については当院皮膚科や病理部がノウハウを有しており、想定通り進まない場合の相談先として活用する。その他、基礎研究における技術面では、連携先である岡山大学薬学部や神戸薬科大学などから有益な助言を得る事が可能である。 臨床試験においては、対象患者の主科である泌尿器科、皮膚科と共同で行うことで、不測の事態に備える事とする。また、臨床試験における試験デザイン、サンプルサイズ、解析計画などの立案については、当院の臨床研究推進センターから助言を受けることが可能である。
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Causes of Carryover |
予定の出張に経費を使用することができず、旅費申請分を物品費として請求したため、差額が生じてしまった。少額であるため、次年度に物品費として使用することとする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の研究費は多少の残余が生じたため、平成27年度の消耗品などに充填することとする。 消耗品として細胞培養器具・試薬類(500,000円)、3次元モデル(200,000円)、抗体等(100,000円)を計上する。また、旅費として学会参加費用(100,000円)を予定している。さらに、その他の費用として成果投稿料・英文校正料(100,000円)などを予定している。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Association of Toxicity of Sorafenib and Sunitinib for Human Keratinocytes with Inhibition of Signal Transduction and Activator of Transcription 3 (STAT3)2014
Author(s)
Yamamoto K, Mizumoto A, Nishimura K, Uda A, Mukai A, Yamashita K, Kume M, Makimoto H, Bito T, Nishigori C, Nakagawa T, Hirano T, Hirai M
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Journal Title
PLoS One
Volume: 9
Pages: e102110
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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