2014 Fiscal Year Research-status Report
運動負荷やNSAIDsの服用による食物抗原の吸収と食物アレルギー発症への影響解析
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26860105
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横大路 智治 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (70389120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 消化管吸収 / アスピリン / マスト細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、食物アレルゲンのモデルとして卵白アルブミン (OVA) を用い、OVAの消化管吸収特性を明らかにするとともに、OVAの消化管吸収と経口感作能におよぼすアスピリンの影響についてラットで検討した。OVA感作ラットに、OVAと細胞間隙輸送マーカーであるFD-40の混合液を経口投与した場合、それらの吸収はいずれも非感作ラットより高く、アスピリンを処置することでさらに高い吸収を示した。一方、OVAやFD-40の吸収はマスト細胞の脱顆粒を抑制するクロモグリク酸ナトリウムを処置することにより用量依存的に低下し、高用量 (100 mg/kg) のクロモグリク酸ナトリウム投与時には非感作ラットで認められた吸収と同程度まで低下した。このことから、感作ラットでは細胞間隙輸送などの非特異的な吸収経路の増加によりOVAやFD-40の吸収が促進され、それらの吸収増加にマスト細胞の脱顆粒が関与する可能性が考えられた。また、OVAを高用量のアスピリンと共に週3回、8週間経口投与したラットでは、アスピリンを処置していない群に比べて、血漿中のOVA特異的IgE抗体価やIgG1抗体価が有意に増加した。一方、低用量のアスピリン処置群においては、コントロール群と比べて有意な変化は見られなかった。以上の結果から、高用量のアスピリンはOVAの経口感作能を増強する可能性が示された。今後、経口感作能が血中濃度の上昇と関連するのかについても明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的であった食物アレルゲンである卵白アルブミン (OVA) の消化管吸収機構とアスピリンによる吸収増加機構の解明、経口感作能への影響についての検討はおおむね順調に遂行できている。今後、OVAの吸収に及ぼす運動負荷の影響についても合わせて検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、卵白アルブミンの消化管吸収におよぼす運動負荷の影響について検討するとともに、その機構を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
物品費の見積ミスによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度に申請した物品費に対する予算と合算して使用する。
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