2014 Fiscal Year Research-status Report
低体温療法時における薬物投与の最適化に向けた薬物組織移行性の変動要因の網羅的解析
Project/Area Number |
26860108
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮元 敬天 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (20619481)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | タンパク結合 / 組織移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は低体温療法時における薬物投与の最適化を行う基盤を構築するため、低体温時における薬物の組織移行性変化の要因を解明することを目的としている。本年度においては、血清タンパクと薬物の結合への温度低下の影響について評価した。さらに、薬物の組織移行性に影響するたんぱく質のmRNA発現への体温低下の影響について評価した。 タンパク結合率について水溶性薬物である4-nitrophenolおよび脂溶性薬物であるMidazolamを薬物とし血漿中の薬物との結合に大きな役割を持つアルブミンをタンパク質として用い、平衡透析膜法により各温度におけるタンパク結合率を算出した。薬物とタンパク質との結合様式などを推定するためSchatchrd plotを作成し、薬物結合部位数と結合定数を算出した。 Midazolam、4-nitrophenolともに低温時においては薬物結合定数が変化することが明らかとなった。 また、薬物の組織移行性に影響する要因の一つである代謝酵素の発現に与える体温低下の影響を評価するため、肝臓における代表的な薬物代謝酵素であるCyp3a2、さらにこれらの発現を制御する核内受容体のmRNA発現量を評価し、低体温時には各種mRNAが減少することを明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画については本年度実施予定であった血流量の変化が組織移行性に与える影響評価を実施していないが、来年度実施予定であったトランスポーター発現量の評価を行っており、計画の進捗に大きな影響はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は薬物の組織移行性に与える血流量変化の影響評価について組織灌流実験により評価する。 さらに培養細胞や脂質二重膜を用いたin vitro実験より、薬物の細胞内取り込みへの温度低下の影響を評価する。
|
Causes of Carryover |
本年度実施予定であった血流量が組織移行性に与える影響の解析を次年度に実施することとしたため、試薬などの消耗品の購入額が減少したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において本年度実施予定であった研究項目を実施するための動物・試薬の購入を計画している。
|
Research Products
(5 results)