2014 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム手法を用いた浸潤性大腸がん細胞のバイオマーカー探索
Project/Area Number |
26860113
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川島 知憲 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (10614935)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メタボローム / 大腸がん / CE-TOFMS / 浸潤能 / イオン性代謝物 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究成果は、浸潤性の異なる大腸がん細胞株の代謝物をCE-TOFMSを用いて測定を行い、浸潤性に関与する代謝物の検討を行った。用いた大腸がんの細胞株としてHCT116とDLD1を用いた。この2つの細胞株の浸潤能は、HCT116に比べてDLD1の方が約10倍高いことが報告されている。 代謝物の測定は、CE-TOFMSによるメタボローム手法を用いた。大腸がん細胞株に内部標準物質を含むメタノールと水を添加して代謝物の抽出を行い、遠心分離機によるタンパク質の限外ろ過と、遠心エバポレーターによる代謝物の濃縮を経て、CE-TOFMSによるイオン性の代謝物の測定を行った。得られた結果はMasterHANDSの代謝物標準リストを用いてピークを同定した。同定後に、代謝物のピークエリア値を求め、内部標準物質と細胞数で補正をしたピークエリア比を用いて大腸がん細胞株の代謝物の比較を行った。 HCT116とDLD1を比較すると、HCT116に比べてDLD1に含まれる代謝物が10倍以上多い代謝物として、アラニン、オルニチンが得られた。一方で、HCT116に比べてDLD1に含まれる代謝物が10倍以上少ない代謝物としてN,N-ジメチルグリシン、N-アセチルプトレスシン、ロイシン、ヒポキサンチン、4-グアニジノ酪酸、N-アセチルヒスチジン、オクトピン、グリセロフォスファチジルコリンが得られた。これらの中でも、N,N-ジメチルグリシン、ヒポキサンチン、4-グアニジノ酪酸、N-アセチルヒスチジンはDLD1では検出されなかった代謝物であった。したがって、大腸がんの浸潤性の違いに大きく関与すると予想される代謝物として10種類得られた。その中でもN,N-ジメチルグリシン、ヒポキサンチン、4-グアニジノ酪酸、N-アセチルヒスチジンの4種類の代謝物はDLD1の高い浸潤性に大きく関与している可能性があることがわかった。
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