2014 Fiscal Year Research-status Report
敗血症性多臓器不全の治療におけるアルギン酸の有効性
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26860116
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
礒部 隆史 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (30440530)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルギン酸 / ヒストン / 敗血症 / 多臓器不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は感染を基盤とする全身性炎症反応症候群であり、ショックや多臓器不全に移行する重篤な病態です。近年、敗血症における多臓器不全の原因物質の1つとして、体内に存在するヒストンが注目されており、このヒストンを標的とした新たな治療薬の開発が期待されております。本研究では、褐藻類に含まれるアルギン酸のヒストンへの作用を明らかにし、敗血症性多臓器不全の治療におけるアルギン酸の有効性を示すことを目指しています。 本年度は、各種条件がアルギン酸のヒストン吸着能へ与える影響、並びに薬物への結合性が知られている代表的な血漿中タンパク質とアルギン酸の反応性について検討しました。その結果、マンヌロン酸/グルロン酸存在比並びに分子量よりも原料となる褐藻の種類及び添加量がアルギン酸のヒストン吸着能において重要であることを明らかにしました。アルギン酸はアルブミン、γ-グロブリン及びα1-酸性糖タンパク質等の血漿中に存在するタンパク質と反応性を示さない或いは示しても僅かであり、ヒストンと特異的に反応することが確認されました。デキストラン等の水溶性高分子についても、ヒストン及び代表的な血漿中タンパク質への吸着性を調査しましたが、アルギン酸のようなヒストンに対する強い吸着性及び選択性は認められませんでした。これらの結果から、アルギン酸が敗血症多臓器不全の治療において、製剤素材の有力な候補となりうる可能性が示唆されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、各種条件がアルギン酸のヒストン吸着能へ与える影響、並びに薬物への結合性が知られている代表的な血漿中タンパク質とアルギン酸の反応性について検討し、順調に結果が得られております。従って、研究計画の通りおおむね順調に進展していると考えております。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アルギン酸のヒストン選択性のメカニズムを明らかにするために、他の高分子とのヒストン吸着能の違いを分析します。さらに、ヒストンの細胞毒性に対するアルギン酸の添加効果並びに多臓器不全抑制効果について研究を行います。
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Causes of Carryover |
予定よりも安く実験器具が購入できたためです。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費のほとんどは実験器具や試薬など消耗品に使用する予定です。研究成果を学会や国際誌に発表する予定ですので、学会参加旅費、英文校正料、投稿料などにも一部使用する予定です。
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