2014 Fiscal Year Research-status Report
炎症時におけるERMタンパク質変動とトランスポーター機能との関連
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26860119
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
川瀬 篤史 近畿大学, 薬学部, 講師 (80411578)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 裏打ちタンパク質 / トランスポーター / 炎症 / サイトカイン / 肝臓 / 胆汁排泄 / radixin / P-糖タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症状態では,いくつかの薬物輸送担体(トランスポーター)の発現・機能が変動することが知られている。近年,トランスポーターの輸送活性発現にはトランスポーター単独ではなく,周辺環境が重要であることが報告されている。特に裏打ちタンパク質はトランスポーターの膜局在や機能発現に重要な役割を担っている。本課題では,裏打ちタンパク質のうちERMタンパク質 (ezrin/radixin/moesin)に着目し,炎症時における発現および機能変動について検討を行った。以下,研究実績の概要について記す。「1. 炎症モデル動物におけるERMタンパク質の発現変動」では,アジュバント関節炎 (AA)ラットを用い炎症時の肝臓,腎臓,小腸および脳におけるERMタンパク質発現変動について検討を行い,肝臓のradixin特異的に機能低下が生じており,炎症時のトランスポーター活性低下の原因のひとつとなっている可能性が考えられた。「2. 炎症モデル動物におけるERMタンパク質変動のトランスポーター基質輸送に対する影響とERMタンパク質-トランスポーター複合体形成の変動」では,免疫沈降法を用い,炎症時にP-gpおよびMRP2とradixin間の複合体形成が低下することを明らかにした。「3. 炎症因子のERMタンパク質に対する影響」では,炎症性サイトカイン添加時のERMタンパク質発現に対する影響について検討し,IL-1bによりradixin発現が低下する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた3項目「炎症モデル動物におけるERMタンパク質の発現変動」,「炎症モデル動物におけるERMタンパク質変動のトランスポーター基質輸送に対する影響とERMタンパク質-トランスポーター複合体形成の変動」,「炎症因子のERMタンパク質に対する影響」について当初予定していた項目を概ね検討し,一定の成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画に従い,in vitroでERMタンパク質発現を低下または上昇させたときのトランスポーター機能に対する影響について検討を行い,炎症時のトランスポーター機能低下においてERMタンパク質がターゲット分子となり得るかについて考察を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた各種抗体を用いた検討において5種抗体を予定していたが,現在2種を用いて検討しており,残り3種の抗体を次年度購入する予定に変更したため次年度使用額が生じた。また,その他の物品についても実験の進行具合に伴いいくつか購入予定が次年度にずれこんだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実験計画を遂行のため次年度使用額を含め支出していく予定である。
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