2014 Fiscal Year Research-status Report
有髄軸索の発達と異常におけるミトコンドリア動態変化の分子基盤とその役割
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26860129
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大野 伸彦 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10432155)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 髄鞘 / 軸索 / 脱髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス脳組織の3次元超微形態解析においては、正常な髄鞘の形成と軸索径の増大に伴って個々の軸索ミトコンドリア(Mito)の径と長さの増加によるMito総体積の有意な増加が認められた。一方、PLPtgマウスでは、無髄軸索においては個々のMitoの体積は野生型と相違はないものの、その密度と総体積が野生型に比較して大きく増加していた。1ヵ月齢における髄鞘の形成に伴って、PLPtgマウスのMitoの体積、密度は野生型とほぼ同様に変化したが、3ヵ月齢での脱髄に伴って、脱髄軸索においては、Mitoの密度と総体積の増加が認められた。これらの結果から、正常な髄鞘の形成・軸索径の増加と、Mitoの融合・総体積増加に強い相関があることが示唆された。またPLP-tgでは無髄軸索において既にMitoの分布変化が引き起こされること、また脱髄に伴ってMitoの断片化と腫大、もしくは局在変化が関連する可能性が示唆された。正常マウス脳組織における生化学的解析においては、発達に伴うMito動態関連蛋白の発現の明らかな変化は認められなかった。一方、PLPtgマウス脳組織では、1カ月齢において分裂や呼吸機能に関わる分子については明らかな変化を認めなかったが、5ヵ月齢において分裂関連分子の発現の減少が認められた。 スライス培養系を用いた解析では、既に報告されているように顕著な髄鞘の形成が正常マウスで認められるが、PLPtgマウスより作製したスライスでは、一過性に髄鞘の形成が認められた後、脱髄が進行し、生体内と同様の変化が観察されることがわかった。現在、レンチウイルスベクターによる遺伝子導入を行ってMito動態を観察し、野生型との比較を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元超微形態観察の技術を用いた詳細な解析により、ミトコンドリア融合が髄鞘の形成および異常において認められ、生化学的解析によりその背景に動態制御蛋白の変化が認められることがわかった。スライス培養系の確立と、レンチウイルスベクターを用いた観察も進んでおり、予定通りに進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られている知見をもとに、髄鞘形成不全における軸索ミトコンドリアの動態に、細胞骨格とミトコンドリアの相互作用が関与する可能性を検討する。またスライス培養の観察を進め、ミトコンドリアの機能維持、および融合・分裂の亢進もしくは抑制が病態の改善につながる可能性の検討を行う。
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[Journal Article] Differential roles of microglia and monocytes in the inflamed central nervous system2014
Author(s)
Ryo Yamasaki, Haiyan Lu, Oleg Butovsky, Nobuhiko Ohno, Anna M. Rietsch, Ron Cialic, Pauline M. Wu, Camille E. Doykan, Jessica Lin, Anne C. Cotleur, Grahame Kidd, Musab M. Zorlu, Nathan Sun, Weiwei Hu, LiPing Liu, Jar-Chi Lee, Sarah E. Taylor, Lindsey Uehlein, Debra Dixon, Jinyu Gu, Crina M. Floruta, Min Zhu, et al.
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Journal Title
J Exp Med.
Volume: 211
Pages: 1533-1549
DOI
Peer Reviewed
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