2014 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアダイナミクスによる脳の発達制御と精神疾患発症メカニズムの解明
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26860133
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高村 明孝 大阪大学, その他の研究科, 助教 (80514398)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 脳発達 / 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞小器官のひとつであるミトコンドリアは生命活動維持に重要な役割を果たし、その機能異常は生体にとって重篤な障害をもたらす。近年、ミトコンドリア自身が分裂と融合を繰り返すことで劇的にその構造を変化させ、その機能を調節・維持する「ミトコンドリアダイナミクス」という現象が明らかとなった。また、我々はこれまでに脳発達や精神疾患関連研究を進め、その関連分子がミトコンドリア機能およびダイナミクスにかかわることを明らかにした。 そこで本研究課題では、ミトコンドリアダイナミクスの脳発達および精神疾患発症機構への関与について詳細に検討し、それらメカニズムを解明すること、および疾患治療の新たなターゲットを提供することを目的とする。 本年度はまず、我々がこれまでに報告した精神疾患関連分子に注目して研究を進めた。その結果、ミトコンドリア分子と小胞体分子の結合を明らかにし、その結合によってミトコンドリア形態・機能が制御されていることを明らかにした。近年、細胞小器官同士の相互作用、特にその中でもミトコンドリア-小胞体相互作用は注目されており、お互いの機能制御に重要な役割を果たしていると考えられている。一方で、同じく脳機能制御、ミトコンドリア機能制御に重要な役割を果たしているタンパクSUMO化について検討したところ、複数のSUMO化候補因子を同定し、その機能解析を行った。 今後、ミトコンドリア-小胞体相互作用、機能制御について今回明らかとなった結合分子を中心としてさらに詳細な検討を進めるとともに、同じく本研究で同定した新規SUMO化候補因子についてその機能、およびSUMO化や脳発達・精神疾患との関連の解明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり、若干の計画変更を行ったものの本年度は、 1、ミトコンドリア分子と小胞体分子の結合とミトコンドリア形態・機能制御の観察。 2、SUMO化候補因子の同定とその機能解析。 という2点で本研究課題に進展が得られた。現在は上記2点を中心に継続して研究を進めており、当初の目的通りミトコンドリアダイナミクスと脳発達および精神疾患発症機構のかかわりについて解明を目指す。 以上のことから、おおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は若干の変更があったものの、おおむね順調に進んでいる。引き続き当初の目的通り研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行した。これまでに得られた結果から研究計画に若干の変更を行った。また、研究遂行に必要な抗体やベクターなどについて、一部を共同研究者から供与していただいた。そのため当初の見込み額と執行額は異なった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述の通り、これまでに得られたデータから研究内容に若干の変更を行ったため、支出金額が当初予定していたものと異なった。今後も予定通りの計画を進めながら、得られた結果に合わせて適時実験内容に変更を行うことで、前年度の研究費も含め適正に研究費を使用していく。
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