2014 Fiscal Year Research-status Report
テストステロン投与不応性記憶障害の病態解明と治療法の研究
Project/Area Number |
26860135
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
國分 啓司 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00432740)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 扁桃体 / アロマテース / エストロゲン受容体 / 性ステロイドホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
テストステロンを補充しても症状が回復しないテストステロン不応性記憶障害の原因として、内側扁桃体核におけるエストロゲン合成能力の減退が、記憶障害を引き起こしているという仮説を立てた。 加齢による脳内アロマテースの発現変化を明らかにするため、9週~2 年齢の雄ラットの、内側扁桃体核および分界状小床核のアロマテースを染色し評価した。その結果、1年齢から2年齢にかけてアロマテース免疫反応性が減少傾向にあった。さらに、更年期あるいはホルモン投与治療環境下を想定して、内側扁桃体核が持つ性ステロイド感受性を明らかにするため、内側扁桃体核に発現するエストロゲン受容体(ERα、ERβ)の蛋白量の変化を免疫組織化学およびWestern blotにより評価した。その結果、テストステロンおよびエストロゲンによりERαの有意な減少が観察された。一方でERβについては、使用したすべての性ステロイド存在下においても有意な量的変化を認めなかった。 また、実験動物を選定する予備実験段階において、アンドロゲン受容体を高発現する種特異的な神経核を複数同定し、さらにこれらがいずれも性的二型を示すことを明らかにし、論文を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の研究期間のうち初年度に計画した、更年期モデル動物における扁桃体の性ステロイド感受性の変化の検討は、予定通りに終了したが、加齢によるアロマテース発現神経細胞数の変化に関しては、若干例数を加える必要がある。 一方で予備実験段階のデータに関して、すでに論文発表まで至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、アロマテース遺伝子導入とアロマテース阻害剤を用いた培養細胞系において、前年度に得られたERα蛋白量の変化に対するアロマテースの影響を検討すると同時に、ERα蛋白量の変化が発現抑制よるものか蛋白分解系の亢進によるものかを定量PCRおよびプロテインキナーゼ阻害剤添加条件下でのWestern blotを用いて明らかにする。 また、aromatase阻害剤やエストロゲン受容体作動薬を内側扁桃体核へ局所注入したラットを用いて、局所的に産生されるエストロゲンが記憶能力に与える影響を、行動解析により検討する。
|
Research Products
(1 results)